発表後わずか3日間で、年間販売計画台数3500台を上回る受注数を記録するなど近年希に見る大ヒットとなっているホンダの新型車『CBR250RR』。好調なセールスが示すとおり、その実力もまた噂どおりだった。
メディア向け試乗会は八ヶ岳にて開催されたのだが、レッドゾーンのはじまる1万4000回転まで一気に吹け上がる並列2気筒エンジンは爽快感があって、周辺のワインディングでは終始「なんて楽しいんだ!」と思いながらスポーツライディングに没頭した。
250クラスのロードスポーツバイクは各社が威信をかけたモデルをリリースし、いま大いに盛り上がっているが、「250にしては速い」「これで充分」というのがこれまでのライバル勢の印象だとしたら、CBR250RRは「これがいい!」と胸を張って言える抜群の運動性能を持っている。開発陣が発進加速、追い越し加速、最高速でクラスNO.1を追求したというが、それを実現しているのだ!
新設計の鋼管トラスフレームを骨格とした車体はカッチリとした剛性感のあるもので、ハンドリングは250らしい軽快感を失うことなく、クラスを超えた安定感があり、狙ったラインを外さない。
そしてスロットル・バイ・ワイヤ、いわゆる電子制御スロットルをクラス初採用したことで、「Comfort」「Sport」「Sport+」という3段階のライディングモードを搭載しているが、これがそれぞれに持ち味がある。
スロットル操作に対し、トルクが鋭く立ち上がる Sport+ ばかりを最初は気に入って使っていたが、別荘地や市街地に入り込むと、穏やかな出力特性のComfort も荒れた路面やこまごまとした路地裏、雨天時やビギナーにはありがたいと気付く。
しかし上り勾配の加速ではもたつき、物足りなさがあるのもまた事実で、その点、Sport はちょうどよく、Sport+で走ったワインディングを引き返してもコントローラブルなSport モードに不満は一切感じない。
ライディングモードの搭載は商品価値を高めるためのもの…そんな意地悪な見方を最初はしたが、走ってみると“とても使える”ということがわかった。
■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
コンフォート:★★★★
足着き:★★★★
オススメ度:★★★★★
青木タカオ|モーターサイクルジャーナリスト
バイク専門誌編集部員を経て、二輪ジャーナリストに転身。国内外のバイクカルチャーに精通しており、取材経験はアメリカやヨーロッパはもちろん、アフリカや東南アジアにまで及ぶ。自らのMXレース活動や豊富な海外ツーリングで得たノウハウをもとに、独自の視点でオートバイを解説。現在、多数のバイク専門誌、一般総合誌、WEBメディアで執筆中。バイク関連著書もある。