新京成電鉄「くぬぎ山のタヌキ」旧塗装車が運行開始

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「くぬぎ山のタヌキ」こと8000形の2代目塗装が復活。6月9日から運行を開始した。
「くぬぎ山のタヌキ」こと8000形の2代目塗装が復活。6月9日から運行を開始した。 全 6 枚 拡大写真

松戸(千葉県松戸市)~京成津田沼(習志野市)間26.5kmの新京成線を運営する新京成電鉄はこのほど、「くぬぎ山のタヌキ」こと8000形電車を昔の塗装に塗り替えた。6月3日のイベントで一般に公開し、9日の夕方から営業運転に入った。

昔の色に塗り直されたのは、8000形の第8512編成(6両)。ベージュをベースに茶色の細い帯を巻いた2代目塗装に戻され、6月3日のイベントで公開された。「スカート」と呼ばれる編成先頭部のカバーが取り外されて展示され、スカートをはいていなかった往年の姿が再現されたという。

9日夕方からの営業運行ではスカートが元に戻され、先頭部には新京成電鉄の新しいシンボルマークが窓下に小さく入れられた。沿線では第8512編成の姿を収めようと、カメラを構える鉄道マニアの姿もみられた。

■現存編成3本は全て異なる塗装に

新京成電鉄の営業用電車は現在、8000形・8800形・8900形・N800形の4形式。このうち最も古いのが8000形で、今から40年近く前の1978年にデビューした。老朽化のため2011年から順次廃車されており、現在は第8512・8514・8518編成の18両(6両編成3本)が残るのみだ。

新京成は1947年の開業後、しばらくは京成電鉄から譲り受けた中古車両を使用しており、一時は「旧京成」などと冷やかされていた。1971年には初の新造車両となる800形がデビューしたが、これも京成電鉄の当時の車両に準じた設計だった。

8000形は新京成の独自性を強く打ち出した新型車両となり、最初から冷房装置を搭載したのも新京成では8000形が初めてだった。運転台がある先頭部は貫通扉がない2枚窓で、貫通扉を設けている京成電鉄の車両とは大きく異なるスタイルとなった。

運転台窓の周囲は色つきの「くぼみ」になっており、窓下のくぼみはスペースを広くとって丸形のライトを横並びで配置。8000形の顔つきを特徴的なものにしている。人によっては、この顔つきがタヌキのように見えるといい、鉄道マニアの間では「くぬぎ山のタヌキ」などと呼ばれてきた。

8000形は1978年のデビュー当初、キャンディピンクとマルーンの2色塗装(初代塗装)だったが、翌1979年からはベージュをベースに茶色の細い帯を巻いた塗装(2代目塗装)に変更。その後に登場した8800形も同様の塗装を採用しており、「ベージュ+茶色細帯」は新京成の「標準色」となった。

2006年から始まった京成電鉄千葉線への乗り入れに際しては、8000形はえんじ色に細めのライン4本の塗装(3代目塗装)に変更。さらに2014年、新京成はジェントルピンクを新しいコーポレートカラーとして制定し、同社の車両もジェントルピンクを使った新しい塗装への変更が進められている。

8000形は、現存する編成3本のうち第8518編成が新塗装(4代目塗装)への塗り替えを完了。さらに今回、第8512編成が2代目塗装に変更されたことで、2~4代の塗装がそろう格好となった。

《草町義和》

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