【新聞ウォッチ】経営破たんのタカタから学ぶ「安全」への責任と教訓

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タカタのエアバッグ(車はホンダ・アコード) (c) Getty Images
タカタのエアバッグ(車はホンダ・アコード) (c) Getty Images 全 2 枚 拡大写真

気になるニュース・気になる内幕---今日の朝刊(朝日、読売、毎日、産経、東京、日経の各紙・東京本社発行最終版)から注目の自動車関連記事をピックアップし、その内幕を分析するマスコミパトロール。

2017年6月27日付

●藤井四段29連勝、14歳30年ぶり新記録(読売・1面)

●タカタ中国系傘下で再建、車大手影響は限定的、民事再生申請(読売・12面)

●レクサス「LS」全面改良公開(読売・8面)

●タカタ負債1.7兆円(毎日・1面)

●タカタ、来月27日に上場廃止(産経・11面)

●バス運転手ら週内立件へ、軽井沢事故運行会社社長も(産経・26面)

●タカタ下請け全国570社、取引減なら雇用不安も(東京・7面)

●エアバッグ供給不安出ない対応を、経団連会長(東京・7面)

●東芝、きょうにも売却契約、半導体「日米韓」と詰め、再協議条項もさ(日経・1面)

●高速道の逆走防止、車載器と保険セット販売、MS&AD(日経・7面)

●車メーカー6社費用回収不能も、タカタ製エアバッグのリコール(日経・15面)

●東京メトロ・小田急「湘南マリン号」運行、夏の臨時便(日経・35面)

ひとくちコメント

「新記録」でも名誉と不名誉が交錯している紙面を読むのは実に複雑である。将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段が歴代単独1位となる29連勝を達成。神谷広志八段が1987年に達成した公式戦連勝記録の28を30年ぶりに塗り替え、新記録を打ち立てた。

一方、欠陥エアバッグの大規模リコール(回収・無償修理)問題で経営難となっていたタカタは、民事再生法の適用を東京地裁に申請。負債総額は1兆円超で、製造業の経営破たんとしては戦後最大となった。

きょうの各紙の1面は、「藤井四段29連勝、30年ぶり新記録」とのタイトルで朝日、毎日、産経、東京の4紙がトップで掲載。各紙とも6月26日夕刊で大きく報じたこともあり、きょうの朝刊では日経だけが「タカタ、主力事業新会社で、再生法申請、補償・弁済は分離、日米で未回収4000万個」が1面トップだった。

それでもタカタの経営破たん関連記事は、例えば朝日は、2面の「時時刻刻」でも「創業家経営保身重ね失墜」と報じているほか、6面の経「経済欄」では「タカタ会見の主なやり取り」、そして14面の「社説」でも「タカタ倒産、遅きに失したけじめ」と取り上げている。

社説は、朝日ばかりでなく、全紙がテーマに取り上げているが、読売が「リコールの責任を全うせよ」、毎日は「危機管理を考える機会に」、産経は「信頼損ねた責任は重い」、東京が「消費者を忘れた代償」、そして日経が「民事再生に追い込まれたタカタの教訓」としている。

このうち、毎日は「自動車メーカーの責任も重い」として「消費者が選ぶのは部品ではなく完成車だ。タカタ製品を多く搭載する日本の自動車メーカーも対策にしっかり取り組むべきだったが、タカタと責任を押し付け合った」と指摘。「危機管理体制をどう確立するか。日本の製造業が考えるべき課題といえる」と警鐘を鳴らしている。

日経も「今回の事件は自動車産業全体にも教訓を残した。自動運転など新たな技術がこれから実用化されると、便利さの裏側で、過去にはなかったような新種の安全問題が起こるかもしれない。その時に機敏に対応しなければ、消費者と社会の信頼を失うことになる」と伝えた。

きょうの紙面を見渡す限りでは、タカタの経営破たんについて、自動車メーカーは「回収不能の恐れがあるが、今後の業績への影響は軽微」との見解を発表しているものの、経営トップのコメントは見当たらない。

タカタの記者会見で高田重久会長兼社長が「メーカーの考え方がばらばらで、意見をまとめるのに時間がかかった」などと、言い訳とも思える発言だが、それが今のメーカーの実態を表しているとも受け取れる。

《福田俊之》

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