タカラトミー小型AI ロボット『COZMO(コズモ)』を9月23日に発売する。COZMOは米国の「Anki(アンキ社)」が開発、2016年10月により発売された。AI(人工知能)で様々な動きをする「やんちゃでかしこい、あいぼう」だ。
タカラトミーのハロルド・メイ社長は、「COZMOを見て真っ先に思った言葉が『やんちゃ』でした。心を搭載するおもちゃです」と述べる。パートナーのアンキ社のボリス・ソフマンCEOは、「ロボット工学、AI、ゲームデザイン、そして好きなSF映画からのインスパイア、それらの要素をすべて取り入れることがCOZMOのキャラクター開発へのアプローチだった」という。
アンキ社は、2010年に米カーネギーメロン大学院のロボット工学専攻出身の3名が起業した、主にロボット工学とAI分野を中心に商品開発を行なうのスタートアップ企業だ。サンフランシスコに本拠を置く。iPhone向けカーレースゲーム『Anki Drive』を2013年に発表し、注目を集めた。2015年には『Over Drive』を発売し、COZMOはアンキ社の第3弾の商品となる。
アンキ社のピーター・ユーンによると、COZMOの企画は2011年ごろにはあったという。「SF映画に登場する、キャラクターをもった感情表現できるロボットは現実にはありませんでした。パーソナリティに重きを置いた企画のロボットを作りたかったのですが、当時の技術では難しかったのです」と明かす。
AI技術の発達により、環境を自分で認識し、自発的に感情を表現できるロボットが可能になったという。「COZMOはAIによって、周囲の物体を認識して行動を決定します。できそうでできないところが、また知性を感じさせます。人間の赤ちゃんと同じで、自分が知っている(=登録された)人の顔を見ると名前を読んで、喜びます。それも最初は見るだけなんですね」。
アンキ社のスタジオにはピクサーやドリームワークスで働いた経験のあるスタッフが10人ほどいるという。COZMOの動きはまずアニメーションで検討され、それをロボットの動きに落とし込むというやり方だった。「LEDディスプレイの目の表現だけに3~4か月かかりました。眉毛も試してみたのですが、人間に似て、いわゆる“不気味の谷”に近づいたのでやめました」とユーン。
開発段階では、主なものだけでも45案のデザインが検討されたという。「顔が一つ目タイプの案もありました。最終的にテレビのブラウン管の中に目がある形になりました。シンプルゆえに豊かな表現が可能になったと思います」(ユーン)。遊びの最中に流れるBGMはオーケストラで収録した、延べ42分間のオリジナル音源を使用している。
タカラトミーのメイ社長はアンキ社との協業について「世の中のデジタル化は必然の流れです。タカラトミーでも3年ほど前から、玩具にデジタル技術を取り込む研究をしてきました。デジタル玩具を商品化する時に、タカラトミー単独で独自開発するか、または、テクノロジーはあるがものづくりのノウハウはない外部組織と組むか、のいずれかのやり方があります。今回タカラトミーはアンキ社と組むことにしました。COZMOはアンキ社が開発した製品ですが、お互い刺激しあって、これから新たな製品が生まれるかもしれません。可能性は無限大です」と説明する。