【インタビュー】レベル3自動運転の実用化に向けた制度整備に注力…警察庁 佐野裕子氏

自動運転の実現を掲げる政府のロードマップに対して、各省庁の動きはますます具体化してきている。交通事故の削減を目指す警察庁に、自動運転の実現に向けた現在の動向を聞いた。

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警察庁 長官官房参事官(自動運転担当)警視長 佐野裕子氏
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2020年の東京オリンピック開幕まであと3年となった2017年夏。自動運転の実現を掲げる政府のロードマップに対して、各省庁の動きはますます具体化してきている。交通事故の削減を目指す警察庁に、自動運転の実現に向けた現在の動向を聞いた。

◆警察庁の担当する領域について

---:自動運転の実現に向けて、警察庁はどのような役割を担っているのでしょうか。

警察庁 長官官房参事官(自動運転担当)警視長 佐野裕子氏:交通事故の削減、渋滞の緩和、高齢者のモビリティを高めるものとして期待し、警察としても積極的に取り組んでいますが、(自動運転は)安全かつ円滑に導入されなければならないと考えています。社会にはまだ不安感があると思いますので、導入のタイミングで事故などがあると信頼感が下がってしまいます。議論が後退してしまう可能性もありますので、実験段階でも、事故が発生しないように取組を進めたいと考えています。

◆ITS、路車間通信

---:事故の削減に関して、警察庁が担当している路車間通信についていかがでしょうか。

佐野氏:道路側からの車両への情報提供による交通安全の推進という点については、20年ほど前から取り組んでいるほか、最近では、内閣府主導によるSIPにおける自動運転の実用化に向けた技術開発プロジェクトの一環として、交差点内で対向車線の右折車両を検知するものや、信号情報を提供してスムーズな交通流を助かる仕組み作りに取り組んでおります。今後も自動運転を見据えた安全性向上に向けて技術開発に取り組んでいきます。


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◆道交法を中心とした制度整備

---:いっぽうで、道路交通法も矛盾が生じるのではないかという話があります。

佐野氏:今後、道路交通法その他の法制度の見直しを検討することが必要となってくると考えます。これも、国際動向と技術動向を見ながら検討していきます。(道路交通に関する国際条約である)ジュネーブ条約では、運転者が必要とされていますが、国連の欧州経済委員会の下にあるWP1(道路交通に関するグローバルフォーラム)において、日本からは警察庁が正式メンバーとして議論に参加し、ここで自動運転と条約の整合性等について議論しています。

自動運転と言っても、国によってニーズに違いがあります。例えばドイツですと、高速道路での自動運転のニーズが強く、高速道路を自動運転中に、本を読んだりなどのセカンドタスクをいかに認めるかが活発に議論される一方、日本では、過疎地の高齢者の足となるような、比較的低速の公共交通機関としての自動運転の導入が注目を集めています。また、物流においては、先頭のトラックは有人で、後続のトラックは無人で運転する隊列走行、オーナーカー(自家用車)としては、高速道路における自動運転の導入を求める向きが強いように見受けられます。

◆自動運転の実証実験ができる環境を整えたい

佐野氏:警察庁において、今年6月に策定・公表した遠隔型自動運転システムの公道実証実験に関するガイドラインは、運転席に人がいないことを前提としています。ここが今までのガイドラインとの大きな違いです。緊急時に遠隔監視・操作で車両を停止させられることを必須とするなど、必要な条件はありますが、技術の進展を促す観点から、一律に画一的な技術水準をクリアすることや、厳格な各種措置を求めるものではなく、これに基づき、自動運転に係る各種実証実験が安全かつ円滑に実施されることを期待するものです。

◆今後の動向について

---:今後の動き、直近のイベントについて教えてください。

佐野氏:今年5月に自動運転のロードマップが示され、2017年度中に、自動運転の実用化に向けた制度整備の大綱を作ることとされています。こういった動きを受けるとともに、これまでの議論を踏まえ、警察庁においては、一昨年度、昨年度に続き、第3回目の調査検討委員会を発足させ、いわゆる隊列走行とレベル3の実用化に向けた制度整備のための様々な論点を洗い出していくことにしております。


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《佐藤耕一》

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