新型 MIRAI で手放し運転! トヨタ「アドバンスドドライブ」の実力を試した…SIP試乗会

トヨタ「Advanced Drive」でハンズオフ走行を体験
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戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)による自動運転の現在地を知るための試乗会が4月20日と21日の2日間にわたって開催された。今回はトヨタが新型レクサス『LS』とトヨタ『MIRAI』(ミライ)に導入した「Advanced Drive(アドバンストドライブ)」の体験レポートをお届けしたい。

「ベテランドライバー並み」を実現した滑らかで安全な走行を実現

この機能はレクサス「LS」とトヨタ「ミライ」に搭載され、センサーとしてはトヨタ初となるLiDARを採用し、それにレーダー、ステレオカメラなどを組み合わせる注目のシステムだ。そのシステムはレーダー×5、カメラ×4、LiDAR×1の構成。これらにより、200m先までも見通して制御することを可能としている。このAdvanced Driveの機能はLSとミライは同じ。今回はミライで試乗体験をすることになった。

トヨタがLiDARを搭載したということで、「ホンダのようにレベル3を実現したのか?」と思われがちだが、実はAdvanced Driveの自動運転レベルはSAE(米国自動車技術者協会)でいう運転支援のレベル2にとどまる。トヨタ自身、“レベル云々”にこだわるのではなく、制御そのものを「ベテランドライバーのような自然で滑らかな動きとともに、周囲にも配慮した安全運転を実現すること」をまず重視したという。

トヨタが究極の目標としているのは交通事故死者ゼロを達成することだ。その実現のために開発をしてきた「Toyota Safety Sense」はグローバルで2000万台以上のトヨタ車に搭載される。その延長線上には制御をクルマだけに頼るのではなく、人との協調する中で実現する現実路線を歩むトヨタの基本的な考え方「Mobility Teammate Concept」がある。それを具体化したのが、今回、LSとミライに搭載となったAdvanced Driveというわけだ。

搭載された機能は、カーナビで目的地を設定し、その上で高精度マップが整備された高速道路や自動車専用道路上において動作する。その内容は、カーブ手前では曲率に合わせて自動的に減速し、車線変更や分岐を行い、さらに追い越しでもドライバーの指示によってアクセルやブレーキ操作をシステム側で行なうというものだ。ただ、同乗した説明員によれば、目的地を設定していなくても機能自体は動作させることができ、その場合は直進を基本として道なりに走行するとのことだった。トヨタ「Advanced Drive」を搭載した新型ミライトヨタ「Advanced Drive」を搭載した新型ミライ

先行車に追いつくとシステムが追い越しを提案。車線移動もスムーズそのもの

試乗は首都高速道路の湾岸線東行きの有明ランプから千鳥町ランプへ向かい、帰りは辰巳ジャンクションから都心環状線へを周回してお台場へ戻るルートで体験した。千鳥町まではカーブも緩やかで都市間高速のイメージでゆったり走れる一方、帰りはかなりキツメのカーブが連続し、途中にはビル街やトンネルもある、制御を行うには難所とも言えるルート。レベル2とは言え、これらのルート上において、高度運転支援としてどこまで支援してくれるかがポイントとなる。

有明ランプに入って湾岸線を直進するために左から2番目のレーンへと手動で移動。ここで少し走るとAdvanced Driveが作動してメーター内のコースがブルーに切り替わった。この時点でハンズオフ走行が可能となる。ハンズオフ走行のままミライは車線に合わせて進んでいき、コーナーに差し掛かると曲率に応じて減速。この減速が極めて巧みで、減速ショックはほとんど感じさせずムーズに通過する。これも高精度マップがあることによる“先読み”が功を奏しているようだ。

一方、システムの支援ができなくなるとメーター内のコースはグレーに切り替え、「Advanced Drive Ready」の表示に切り替わって支援できていないことが伝えられる。ここからはステアリングを保持しての走行となる。

Advanced Driveでの設定速度は速度標識よりもプラス15km/hまで任意で可能だが、最高速度は120km/hに制限される。そのため、試乗した途中から速度規制が80km/hになる湾岸線でのメーター上の制限速度は95km/hまで。ただ、周囲はそれを少し上回る100km/hオーバーで流れており、95km/hでも走行車線を走行するのが適切だ。

そんな中で先行車に追いつくシーンに遭遇すると、システムは追い越しを提案してきた。ステアリング上のOKボタンを押し、移動する方向を視線で確認すると(ここが重要)自動的にウインカーを出して追い越し車線へと進み始めた。この時、ドライバーはステアリングに軽く手を添えているだけでいい。そして、追い越しを終えると再び元の車線へと戻っていった。この制御は斜め後方から来る車両との間隔が肝になるが、今回の試乗ではこのタイミングが良かったのか、ほとんどのケースで上手く動作するのを体験できた。

任意に車線変更する際はウインカーを軽く約1秒ほど押すことで可能となる。ただし、ここでもドライバーが視線で移動方向を確認し、合わせてステアリングに手を添えている必要があるのは同じだ。

ただ、勘違いしやすかったのが車線変更する時はOKボタンを押した後にステアリングに手を添えなければならないのに、それを忘れてしまったこと。そのため、せっかくの追い越し提案をキャンセルすることが度々あったのだ。頭ではわかっていたはずなのに、実際はそれが思うように伴わない。慣れれば防げるのかもしれないが、ここはもう少し走り込んでみたいと思った。高速道路にミライで入路。この後、Advanced Driveの認識を求めるため、マスクを外して対応した高速道路にミライで入路。この後、Advanced Driveの認識を求めるため、マスクを外して対応した

大型車を追い越す時、合流時で“周囲にも配慮した”思いやり走行

ハンズオフ走行は渋滞時でももちろん対応する。渋滞のノロノロ走行や制限速度下の巡航はとても退屈なもので、前方を見ていたとしてもつい居眠りも招きがちとなる。前方を見ていればステアリングやブレーキ操作をすることなく先行車に追従。仮に居眠りで視線を落とせば、それをドライバーに知らせて警告する。そんな状況になった時でもシステムがその状況を監視し、万一の危険に陥るのを防いでくれるのだ。

このシステムの“周囲にも配慮した”対応を実感させるのが、大型車を追い越す時に見せる動きだ。一般的なACCでは大型車の横を追い越す時だろうがそれ以外だろうが、車線の中央部を走行するよう設定されている。そのため、大型車の横を抜ける時は何となく吸い寄せられるような感覚にもなり、つい不安を覚えてしまう。Advanced Driveにはそんな不安を解消するために車線内を右側にシフトして走行する機能を備えられているのだ。

実際の効果はどうか。大型車を追い抜く時はさぞかし右にシフトする効果が実感できるかと思ったが、意外にもその感覚は伝わって来ない。これで本当に機能しているのか?? この件について説明員に質すと「それこそが機能している証拠」なのだという。つまり、ドライバーは大型車を追い越す際に自然と右側に若干シフトすることで自ら不安を解消している。それと同じことをAdvanced Driveはやってくれているわけで、むしろシフトしたのを認識できるほどシフトすると、却って違和感を伝えることになるのだ。

この背景にあるのが高精度マップと、準天頂衛星「みちびき」などGNSSを活用した高精度な測位との組み合わせだ。高精度マップには車線ごとの詳細なデータが含まれており、衛星からの測位と照らし合わせて中央線からどこまでズレて走れるかを導き出しているのだ。

また、この“思いやり”行動はこれは合流部分での相手車両への配慮などにも活かされている。左側車線を走行中に合流地点で流入してくる車両があると、メーター内ではその車両をオレンジ色で捉え、速度を少し減速して流入しやすくする。この時の制御もほとんど違和感がなく自然に行われていた。ミライと同仕様のAdvanced Driveが搭載されたレクサスLSミライと同仕様のAdvanced Driveが搭載されたレクサスLS

ハンズオン走行でも抜群の安定度。アップデートで将来も安心

そして、ミライは“難所”の都心環状線へと向かう。都心環状線の内回りは制限速度が50km/hで、首都高では最も曲率の大きいコーナーが高低差を伴いながら連続する。ビル街の間を走行することにもなり、さらにはトンネルもある。つまり、このルートは衛星からの受信もままならず、高精度マップのデータもフルに活かせないため、ハンズオフは基本的に使えなくなってしまう。それ故、運転支援はハンズオンの「アクティブレーンキープアシスト」走行となる。

驚いたのはこの状態でも手をステアリングに軽く添えるだけで、キツメのコーナーをスムーズにを曲がっていくこと。トンネル内に入ってもその制御は変わらない。その安定感たるや驚きの一言に尽きる。自律走行によるセンシング能力が高いことに加え、やはり高精度マップによる正確な曲率がデータとして取り込まれていることが大きいのだろう。まさに脱帽だ。そんな体験に感動しながら気付くとお台場出口にたどり着き、Advanced Driveのお楽しみはここまでとなった。

そして、このAdvanced Driveでは、OTA(Over The Air)を用いたソフトウエアアップデートによる機能拡張が謳われていることも見逃せない。つまり、市場に出した後、改良すべき点が見つかった場合はネットワークを介して機能アップを行っていくことがでできるのだ。データを送受するDCMはauの4G通信網を継続使用。今のところ5Gへの対応は未定とのことだが、説明員によればアップデートは4Gでも十分対応は可能だという。

それだけじゃない。ミライもLSもフロントフェンダーの左右やリアバンパー中央下部の黒いスペースは現状カバーリングがされ、システムの進化に応じてLiDARの追加も想定されているのだ。トヨタによれば、そう遠くない時期にその対応が行われる予定だそうだ。そこにはレベル3への対応も含まれているはずだ。このようにハードウエア側もアップデート提供を想定しているというところがAdvanced Driveの新しさと言えるだろう。

《会田肇》

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