東海道・山陽新幹線の停電、原因はエアセクション停止

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6月の停電トラブルの流れ。『のぞみ241号』がエアセクションで停止し、片側の架線に不完全接触したことにより架線が切れた。
6月の停電トラブルの流れ。『のぞみ241号』がエアセクションで停止し、片側の架線に不完全接触したことにより架線が切れた。 全 2 枚 拡大写真

6月に発生した東海道・山陽新幹線の停電トラブルについてJR東海は7月13日、停電は架線と車両の集電装置(パンタグラフ)が不完全接触したことで架線が切れたためと発表した。

トラブルは6月21日に発生。19時37分、『のぞみ241号』が新大阪駅への入線待ちのため東海道新幹線京都~新大阪間(大阪府高槻市)で停車。11分後の19時48分、山陽新幹線の区間を含む京都~新神戸間で瞬時停電が発生した。さらに19時53分と20時08分に同区間で停電が発生し、運転を見合わせた。

職員が現地を確認したところ、架線を構成する電線のうち、パンタグラフと接する部分の電線(トロリ線)が切れているのを発見。復旧作業は深夜の0時47分に完了し、7分後の0時54分に運転を再開した。これにより東海道・山陽新幹線の乗客約5万1000人が影響を受け、下り12本の列車が一部区間で運休。上下計63本の列車が約3~6時間遅れた。

JR東海によると、『のぞみ241号』がエアセクションで停車。エアセクションでは二つのトロリ線が並んでおり、12号車のパンタグラフが片側のトロリ線と不完全接触となる範囲(2m程度)で停止した。この地点で『のぞみ241号』が11分間停車し続けたほか、大雨の影響で『のぞみ241号』の前方に多数の列車が存在していたことから流れる電流も大きく、これによりトロリ線が熱くなって断線したという。

エアセクションは、架線に流れる電気を区分する場所。在来線の場合、異なる変電所の境界点に設けられ、セクション内では二つの変電所から伸びる架線が二つ並ぶ。ここで列車が停車すると、パンタグラフによって二つの架線が短絡し、発熱して断線に至る場合がある。

このため、原則としてエアセクション内では停車してはならない。2015年8月には、JR東日本の根岸線で列車がエアセクション内で停車。架線が溶けて停電した。同年11月にもJR西日本の東海道本線(JR神戸線)で同様のトラブルが発生している。

一方、新幹線のエアセクションは、列車通過時にセクション前後の架線が同じ電源になる「同相エアセクション」。JR東海は「同一電源であり、一列車あたりの電流も小さいことから、アーク放電を起こしにくく、発生した場合であっても、トロリ線断線には至らない程度であると想定していました」としている。

JR東海は今回のトラブルを受け、同相エアセクションに停止回避区間を示す標識を新設するとしている。標識の設置は8月上旬に完了する予定。

《草町義和》

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