【WEC 第4戦】ポルシェが地元ニュルで1-2フィニッシュ…トヨタ勢はポール獲得も決勝3-4位に敗れる

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WECニュル戦を制した#2 ポルシェ。
WECニュル戦を制した#2 ポルシェ。 全 8 枚 拡大写真

世界耐久選手権(WEC)第4戦は現地16日、ドイツのニュルブルクリンク(GPコース)で決勝6時間レースを行ない、最上位クラス「LMP1-H」ではポルシェ919が1-2フィニッシュを飾った。予選でポールポジションを獲得したトヨタTS050勢は決勝3-4位に敗れている。

全9戦の今季WECは、シリーズ最大の山場「ルマン24時間」(WEC第3戦)を終え、ここからはシリーズタイトルをかけての争いに移行する。トヨタが通常の2台体制に戻り、LMP1-Hの頂上対決は再び2対2の戦いとなった。

予選では#7 トヨタ(小林可夢偉 & M.コンウェイ & J-M.ロペス)がポールポジションを獲得。ポルシェが2-3位につけ、#8 トヨタ(中嶋一貴 & S.ブエミ & A.デビッドソン)が4位。

決勝レースはフォーメーションラップ中に#8 トヨタがスローダウンする波乱を伴って始まった。ピットに辿り着いた#8 トヨタは燃料ポンプのトラブル修復に時間を費やし、レーススタートから約12分後に戦列に加わる。いきなり大きなビハインドを背負ってしまった。

レース序盤は#7 トヨタが首位を守って走る。しかしスタートから1時間18分を経過する頃にはポルシェがトップに躍り出て、やがて1-2体制に。レースはポルシェが支配する流れとなっていく。

そして終盤には選手権ポイントを意識してピット作業で2台の順位を意図的に入れかえたと見られるポルシェが、母国ドイツで完勝の1-2フィニッシュ。#2 ポルシェ(T.ベルンハルト & E.バンバー & B.ハートレー)がルマンに続く2連勝を飾り、#1 ポルシェ(A.ロッテラー & N.ジャニ & N.タンディ)が2位に続いた。

今季のポルシェは、今回がハイダウンフォース(ハイDF)仕様の空力パッケージ初投入レース。シーズン序盤はハイDF仕様が適していると見られるコースでもローDF仕様で戦っていた。これはローDF仕様で臨むルマンをまずは重視するとともに、シーズン中盤以降に重要となるハイDF仕様をデビュー先送りにして開発に時間を割いている、などの見方をされていたが、満を持してのハイDF仕様が期待通りのパフォーマンスを発揮した格好だ。

ポルシェLMPチームのチームプリンシパル、アンドレアス・ザイドルは「我々の新たなハイDFパッケージ開発に携わった全てのメンバーに大きな感謝を伝え、祝福したい。このハイDFパッケージが今回の1-2フィニッシュを可能にしてくれた」と語っている。

これでタイトル争いは、ドライバー部門で#2 ポルシェが#8 トヨタに対するリードを30点まで開き、マニュファクチャラー部門でもポルシェがトヨタを39.5点リードとしている。

トヨタ勢は今回、#7 小林可夢偉組がトップと65秒差の3位、#8 中嶋一貴組が5周遅れの4位。決勝は完敗といえる内容だった。

#7 小林可夢偉のコメント
「レース序盤は問題ありませんでした。最初のスティントでは我々のペースは良く、首位をキープできました。しかし、その後はバランスがわるくなって、首位争いから脱落してしまいました。正直なところ、金曜日の公式練習走行から厳しいレースになるだろうとは予想していましたが、その通りになってしまいましたね。とても悔しいですが、何とか最低限のポイントは獲得したと思いますので、次戦メキシコで巻き返すべく挑戦します」

#8 中嶋一貴のコメント
「我々にとっては厳しいレースでした。フォーメーションラップ中にトラブルに見舞われ、上位争いのチャンスは失われてしまいました。スピード的にはポテンシャルを見せられたと思いますが、いくつかの問題もありました。4位でフィニッシュできたことで、最初のトラブルを考えれば選手権争いでのロスは最小限に留められた、とポジティブに考えるべきでしょうね」

トヨタの佐藤俊男チーム代表は「残りのレースは欧州から出て、北米、アジアを転戦しますが、我々のTS050 HYBRIDにとってより特性の合ったサーキットが待っています。今回の不具合とペースダウンを解析し、対策を織り込み、引き続きチャンピオンを目指して戦っていきます」とコメント。開幕2連勝から一転して苦境に直面したが、後半戦での状況打開を目指す。

LMP2クラスではジャッキー・チェンDCレーシングの#38 オレカ07・ギブソン(H-P.タン & O.ジャービス & T.ローラン)がルマンに続く連勝。LMGTE-Proクラスは#51 フェラーリ(J.カラド & A.ピエール-グイディ)がポルシェ勢を2-3位に下して勝利した。LMGTE-Amクラスは#77 ポルシェ(C.リード & M.カイロリ & M.ディエンスト)が優勝し、澤圭太らの#61 フェラーリ(W.モク & M.グリフィン & 澤)はクラス4位だった。

このあとWECは1カ月半の実戦インターバルを挟むことになり、9月3日決勝の第5戦メキシコから後半戦に突入する(第7戦富士は10月15日決勝)。

《遠藤俊幸》

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