飲酒運転、依存症疑いは4人に1人...久里浜医療センター・樋口進院長に聞く

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飲酒事故のニュースは代償の大きさだけでなく、しばしば運転者の理不尽な言い訳を伝える。なぜ飲酒運転をしてしまうのか。日本アルコール関連問題学会理事長で、国立病院機構久里浜医療センターの樋口進院長に聞いた。

「日本だけでなく世界的傾向として、飲酒運転をする人の中には依存症を疑われる人が多い。特に飲酒運転を繰り返す人の中には、依存症や、そこまでいかないまでも多量飲酒している人が多いだろうと思っている」

免許停止と取消の処分者3000人を対象に行われた「常習飲酒運転車に構ずべき安全対策に関する調査研究」のアルコールスクリーニングテストの結果では、アルコール依存症の疑いがある回答者が飲酒運転違反者で25.4%、飲酒運転再犯者で34.4%あった。

ただ、この調査研究は道路交通法改正前年の2008年に実施された警察庁の委託で、その内容は法令改正や処分者講習の見直しに活用された。その後の検証がない。樋口氏は言う。

「昔は自主的な調査とか、研究機関を使った調査はたくさんあった。ここ5、6年は飲酒から調査の重点がシフトしているようだ。道交法改正の厳格化は、非常に大きなインパクトがあったけど、それですべてではない。プラス何かをしていかないと、さらに減らない。その何かとは、基礎的なデータを取ることと、依存症に関する医療の進展が必要だと思う」

飲酒運転とアルコール依存症の関係が明らかになっても、それがすべてではない。積み残された研究テーマは残されている。

「モラルの問題として、飲酒運転をしてしまう人はいる。そういう人たちへの研究は比較的少ない。我々が実態調査した時にも、普段自分が運転しているところだから飲酒運転しても事故起こさないだろう、捕まらないだろうと思ったとか。飲んだ量が少ないだろうと思ったとか。そういうことは依存症とは違うことだ。飲酒運転に関する認識の甘さ、別の言い方をするとモラルの低さみたいなものを持った人もいる。そういう人たちがどの程度いるのか、性質がどういうものなのかという調査研究は必要だと思う。そうすることによって指針が出てくる」

ただ、飲酒運転に取り組む行政機関は、内閣府、警察庁、厚生労働省、国土交通省、地方自治体など多く、調査研究による前向きな議論は進まないまま、広報啓発活動が行われているの現状だ。

《中島みなみ》

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