【ブリザックVRX2】日本の凍結路に特化したプレミアムスタッドレス、ドライ性能も向上

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発表会にはCMキャラクターの綾瀬はるかさんも登場。トークショーなどを行った
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20日に開催されたブリヂストンの新型スタッドレスタイヤ『ブリザックVRX2』は、現状モデルのVRXのプレミアムバージョンとして今シーズンから投入される。特徴は、氷上性能のアップに加え、耐摩耗性の向上と静粛性の向上を両立させたこと。

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VRX2開発の狙いについて ブリヂストンタイヤジャパン 常務執行役員 消費財タイヤ事業担当 上田達也氏は「冬の安心・安全のため、スタッドレスユーザーにも凍結やスノーに慣れていないユーザーにも、スタッドレスタイヤの重要性を伝えるため」だとする。首都圏など非降雪地域の場合、ちょっとした凍結で事故が多発したり、急な降雪で交通が麻痺してしまう。このようなトラブルは、雪が降ってからスタッドレスに変えるのではなく、シーズンに入ったらスタッドレスに変えておけば避けられる。

降雪が当たり前の地方では雪が降る前の冬タイヤ交換は常識。しかし、東京・名古屋・大阪でのスタッドレスタイヤの保有率は31%だ(ブリヂストン調べ)。この数字は年々増えているとはいえ7割近くが冬タイヤを持っていない。この状態では、数センチの降雪でも渋滞や交通麻痺は避けられないだろう。ただしユーザー側の意識も変わってきているといい、2002年にはスタッドレスタイヤ購入者の半分はレジャー目的だったものが、2017年にはもしものときに備えてという理由が58%の1位になっている(同前)。

同じ調査では、スタッドレス購入者が重視するのは「凍結路など氷上性能(ブレーキの効き具合)」「その性能の持続」「一般路を含む耐摩耗性」ということもわかっている。ブリヂストンはVRX2をこの層に訴求することで、非降雪地域でもシーズンインしたらスタッドレスタイヤに交換してもらう考えだ。

そのためにこだわったのが、VRXより上をいく氷上でのブレーキ性能、ドライ路面も含む耐摩耗性、ドライ路面での静粛性だ。それぞれの技術的な説明はブリヂストン 執行役員 消費財タイヤ開発担当 井出慶太氏が行った。井出氏によれば「日本の凍結路面は0度前後だが、気温の高低差が大きいため表面がツルツルになりやすい。これは極低温の北欧・ロシア、0度以上の欧州、凍結より積雪が多い北米などとも違う」ものだといい、国内向けの開発にもこだわった。

VRX2のスペックは、VRXと比較して氷上ブレーキ性能は10%アップ、耐摩耗性は22%アップ、静粛性については31%もノイズを低減している。氷上性能は、まず発砲ゴムを進化させることでトレッド接地面の除水力を向上させた。

摩耗するのはゴムが拠れて滑るから。サイプとブロックの断面を工夫し剛性を上げることでブロックの変形を抑えた。ブロック剛性についてはVRXよりも24%アップさせているという。この特性は同時にトレッドの接地面積を増やすことにもなり、氷上でのブレーキ性能向上に貢献している。さらに、スタッドレスタイヤ特有の横溝による高周波ノイズを抑えることにもつながっている。

タイヤの剛性を上げるといっても、コンパウンドを硬くするわけではなく、ブロックの断面形状や溝の切り方で剛性を確保するため、スノー、アイスでのスタッドレスタイヤとしての性能は落ちることはない(井出氏)そうだ。

VRX2は現行モデルのVRXと併売される。この点について井出氏は「総合性能としてはVRX2が上となるが、地域や目的によってVRX、VRX2と選んでほしい。とくに非降雪地域の人は、ドライ路面でも静かで減りも少ないVRX2をシーズン早めの交換をして、いざという降雪や凍結対策に役立ててほしい」と語った。

急な降雪などにあわてないためには、最近では、高性能なオールシーズンタイヤという選択肢もあるが、ブリヂストンとしては「日本特有の凍結路面の性能を考えたとき、やはりそこに特化したタイヤである必要がある(井出氏)」と考えている。

《中尾真二》

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