中国の浙江省で開催されている、国際的なデザインアワードに入選を果たした日本のエントラント4組が、最終プレゼンテーションを再現。そんなイベントが東京ミッドタウンで開催された。
7月25日、「中国DIA2017シンポジウム」が東京ミッドタウン内のインターナショナル・デザイン・リエゾンセンターで開催された。これはJIDA(日本インダストリアルデザイナー協会)による、DIA2017での最終プレゼンテーションの再現とディスカッションをおこなうイベント。
DIAとは浙江省で2016年にスタートした「デザイン・インテリジェンス・アワード」のこと。このアワードは中国美術学院が主催し、浙江省政府の後援でおこなわれている。全世界から応募作品を集めて毎年開催され、発売前のプロトタイプや発売直後の製品が対象。
第2回となった2017年は世界46ヶ国から約2700点の応募があり、およそ100点が受賞。さらにその中から選ばれるトップ22には、日本から応募された5作品が含まれる結果となった。25日のシンポジウムには、そのなかから4人のデザイナーが登壇。杭州の中国美術学院で開催された最終プレゼンテーションを「再演」したのは、高見逸平(富士通)、北川大輔(DESIGN FOR INDUSTORY)、佐野正(佐野デザイン事務所)、西村拓紀 (西村拓紀 デザイン)の4名。
高見氏は、聴覚障害者が髪で音を感じるデバイス『Ontenna』、北川氏は360度どこにも向けられる照明『nod』、佐野氏は手でほぐして使う紙製緩衝材『cushionsan leaves』、西村氏は医療用ウェアラブルチェア『archelis』を紹介した。このうち Ontennaと archelisはまだ商品化されていないが、授賞によって社内や協力パートナーなどから大きな反響があり、モチベーションが大いに向上したという。
JIDAの御園秀一 副理事長によれば、DIAに応募するためにはたんなるコンセプト提案では駄目で、具体的な事業化の可能性があるものでなければいけないという。これはDIAが浙江省の製造業を育成し、レベルを高めるためのビジネスマッチングの機会にも活用されているという背景があるようだ。応募者は、最高賞の金賞で100万元(約1700万円)という賞金を目指すだけでなく、事業パートナーを探す機会にもできるというわけだ。
なおJIDAはDIAの協力団体となっていて、JIDAの審査を通過すればJIDA推薦作品となり、DIAの一次審査をスキップできるという。浙江省・経済情報通信委員会の馬錦躍 副主任は「もともとはDIAの告知と宣伝をするために来日したのですが、みなさんから貴重な意見をいただくことができました。次回のDIAがさらに発展し、日本からの応募も増えることを期待しています」と語っている。