今もベントレーの主力…コンチネンタルGT 新型は「スポーツできる身体を手に入れた」[海外レポート]

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ベントレー コンチネンタルGT 新型
ベントレー コンチネンタルGT 新型 全 35 枚 拡大写真

ベントレーの販売主力モデルは、SUVの『ベンテイガ』が登場した今でも、クーペの『コンチネンタルGT』である。ブランドのデザインやイメージを牽引する役目も担っているからだ。

03年に初代コンチネンタルGTがデビューすると、それがそのまま、VWアウディグループ傘下におけるベントレーブランド大復活の狼煙となった。10年に第2世代へと進化を果たし、累計7万台近くを生産している。

そして、7年毎のモデルチェンジサイクルを迎えた今年、ついに第3世代がデビューすることとなった。9月のフランクフルトモーターショーにおけるワールドプレミアを約一か月後に控えたとある夏の日、本社のある英国はクルーにおいて、ごく一部のメディア関係者を対象としたスニークプレビューが開催された。その様子をリポートしよう。

クルーの本社工場脇に、真新しい巨大ショールームがある。これは、全世界のディーラーショールームのお手本となる施設。新型コンチネンタルGTのスニークプレビューは、その施設を利用して行なわれた。

大きなショールームで我々を出迎えてくれたのは、ベントレーのスタッフと、現代に至るベントレーモデルの精神的な端緒というべき「Rタイプコンチネンタル」に、初代コンチネンタルGT、そして2代目コンチネンタルGTだった。

英国流のアフタヌーンティーを楽しみながら、しばし雑談。新型はまだ見えない。ふだんは、レーシングチームが使っているという部屋へと案内され、そこでカンファレンスが始まった。

新型コンチネンタルGTの魅力の骨子を、開発担当者から直に伝授してもらう。「究極のラクシャリーGT」を標榜するだけあって、新しいプラットフォーム(ポルシェ新型『パナメーラ』系と同じFRベースのMSB)に、ベンテイガから採用されている最新の6リットルW12 TSIエンジン、大幅にブラッシュアップされたAWDシステムとアシ回りおよび電子制御、さらには最新のインフォテインメントを備えたニューデザインのインテリアなど、見どころは尽きないようだ。

カンファレンスの後、いよいよ実物と対面する。アンベールされた瞬間、多くのジャーナリストが、その煌びやかな表情に嘆息するのが聞こえた。一見、一連のコンセプトカーフェイスを埋め込んだ、正にキープコンセプトのコンチネンタルGT、に見えたのだが、目の輝きやグリルのワイド感、さらにはスーパーフォーミング加工の大型フェンダーの鋭い峰など、さきほどまで眺めていた初代、2代目とは明らかに異なるオーラを放っていたからだ。ワイド感は半端ないし、何より造り込みが素晴らしい。ディテールをしっかり磨き上げることで、全体の見映え質感を大幅にアップさせた。

個人的に最も注目したのは、135mmも前進したフロントアクスルだった。すでにプラットフォームを共有するとされていた新型パナメーラの技術詳報で知ってはいたものの、改めてベントレーの姿としてその変貌ぶりを目の当たりにすると、また違った感動がある。全長がほとんど変わらず、ホイールベースが伸び、フロントオーバーハングが減って、前後トレッドが増した。新型コンチネンタルGTは、これまでよりもいっそう、“スポーツできる身体”を手に入れたと言ってよさそう。

その他、まったく新しい雰囲気を手に入れたインテリアも注目のポイントだろう。12.3インチという大きなモニターを中央に置くために、従来のようなウィングデザインからT字型の比較的フラットな造形へと変更された。そして、その大型モニターがまた面白い。ロータリング・ディスプレイとベントレーが呼ぶその仕組みは、こうだ。モニター面と、トリム面(周りと連続するように何もない面)、トリムに3つのアナログメーターを配した面、という三種類のフェイスが、ちょうど横倒しにした三角柱のように埋め込まれていて、それが回転する。ボタンひとつで三つの表情を楽しめるという仕掛けになっている。

個人的には、吟味されたマテリアルを惜しみなく使っただけでなく、凝りに凝ったディテールデザインにも惹かれた。たとえばダイヤモンド・イン・ダイヤモンドのキルトや、コート・ド・ジュネーブと呼ばれるトリムなどは、恐ろしく手のこんだ逸品である。後者は何でも、デュルハイマー社長から「エンジンターンと並んで、歴史に残るような新しいトリムを考えろ」という至上命令があって生まれたらしい。高級時計に使われている手法でもあった。

そして、最後にパフォーマンス。ハンドリングなどスポーツ性能の首尾は試乗してからの判断となるが、改善された前後重量配分(フロントアクスル前進と小型化なったW12エンジンのおかげ)や、大幅に容量アップされた3チャンバーエアサスといった説明から想像するに、大いに期待できそう。635ps&900Nmの6リットルW12 TSIツインターボと8速DCT(7速と8速は燃費を稼ぐオーバードライブ)によって、0-100km/h加速3.7秒、最高速度333km/h(6速)を実現するという。

究極のGTでありつつ、FRベースの運動性能も手に入れたらしい、新型コンチネンタルGT。試乗が楽しみな一台だ。

《西川淳》

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