ボーイング 737 改良新型「MAX」とLCCの成長…アジアに注目

航空 企業動向
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LLC(ローコストキャリア、格安航空会社)市場はアジア地域で成長が著しく、ボーイングはこれに対応して、短距離用小型単通路機の『737 MAX』シリーズをアップデートした。

ボーイング・ジャパンでは15日、ボーイングの民間航空機部門北東アジア・マーケティング担当マネージング・ディレクターのダレン・ハルストが来日し、東京でメディア・ブリーフィングを開催した。ブリーフィングではLLC市場の現状と737 MAXシリーズについて解説した。

●成長するアジア経済と、アジアのLCC

世界の地域別の旅客流動やGDPをみると、“世界の中心は東へ移動している”といえる。ボーイングによると、1995年、トラフィックの2/3が欧州+北米だった。それが2015年には約半分、2035年には1/3になると予想される。欧州+北米の旅客流動は縮小しておらず、その他の地域の成長が大きいのだ。

LCCのビジネスモデルは全世界に展開している。さらにLCC市場の中で、座席数の33%がアジア地域で、欧州の29%、北米の26%より大きい。日本を含む北東アジアに区切っても14%になる、注目の市場だ。

ハルスト氏は「LCCの機体は単通路機がほとんどで、短距離路線ではボーイング737クラスがもっとも効率が良い。737の競合はエアバス『A320』シリーズとなる。運用会社は737の方が多い」と話す。

LCCはアジアで成長が著しく、10年間で座席数は22%増加している。ヨーロッパでは12%、北米では3%の伸びだ。アジア地域内では中国が39%、インドが38%で大きく成長しており、それらについで北東アジアの23%、東南アジア21%となっている。

●日本のLCCはフルサービスに対して40倍の伸び

同時に、対日観光客の動向を見ると、2010~16の6年間で中国発が30%、台湾発が22%、韓国発が13%の増加を示している。欧州発、北米発はそれぞれ9%だ。旅客数では中国発、韓国発、台湾発の順で多い。

日本発着のLCCのシェアは2016年に15%、2016年まで6年間の輸送力の伸びは40%となっている。同じ期間、フルサービスの航空会社の旅客の伸びは1%だ。

現在、日本でいちばん機体数が多いのが「737-800」で130機以上、次が『767-300』で約90機、そしてA320シリーズとなっている。

「ここ10年、世界各国の航空会社からメーカーに求められたことは、需要の増大に対応する座席数の増加、座席あたりの運用コストの削減、同じく需要のあるマーケット間を結ぶ航続、といったことだ」とハルスト氏。

●単通路機の需要は旺盛

こうした状況にボーイングに投入したのが737 MAXシリーズだ。737-800の後継で、シリーズの主力となる「737 MAX 8」は旅客定員200席、競合はエアバスの「A320neo」。現時点で737 MAX 8は90社から3843機の発注(および予備発注)があり、2017年からデリバリーが始まって18機が5社に受領された。5社はすべてLCCだ。ハルスト氏は「単通路機の需要は旺盛で、ボーイングの予想を上回る」と明かす。

737 MAXは従来の「737NG」シリーズと比較してエンジンの燃料効率が15%、1998年に登場したNGの初期型と比べれば20%も改善されている。騒音は面積比で40%低減された。航続は737 MAX 8が6510kmで、737-800より1000km以上伸びた。東京発の場合、シンガポール。ジャカルタ、オーストラリア北部が新たにレンジに入る距離だ。

10月のパリ航空ショーではMAXシリーズの最大機種「737 MAX 10」のローンチを発表した。すでに16社から361機の発注(および予備発注)を得たそうだ。737 MAX 10の全長は43.8mで、737 MAX 8より4m長く、定員は230席。ハルスト氏によると「競合のエアバス『A321neo』より運航コストは6%低い」という。

737 MAXシリーズは2017年デリバリーの737 MAX 8に続いて、2018年に220席の「737 MAX 9」をデリバリー予定で、現在テスト飛行中だ。競合はA321neoとなる。2019年にはシリーズ最小172席の「737 MAX 7」をデリバリー予定で、これのライバルはエアバス『A319neo』だ。そして2020年に737 MAX 10のデリバリー開始を予定している。

《高木啓》

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