ルノー・スポールが手掛けた200台のみの限定車、ルノー トゥインゴGT

自動車 ニューモデル 新型車
ルノー・トゥインゴGT
ルノー・トゥインゴGT 全 32 枚 拡大写真

ルノー・ジャポンは10月19日より、ルノー・スポールが手掛けた限定車、『トゥインゴGT』を200台限定で発売する。価格は224万円。

◇大黒柱の限定車は“強引に”前倒し導入

ルノー・ジャポンは9月20日の時点で昨年1年間の販売台数を超え、8年連続対前年比増が確定した。そこに大きく貢献したのがトゥインゴだ。ルノー・ジャポン代表取締役社長の大極司氏はトゥインゴについて、「ルノー・ジャポンの成長の柱」と位置付ける。

トゥインゴは、昨年発売時、“トゥインゴパリ”というメッセージで訴求した。これは、「ファッションセンスの厳しいパリでも乗られている、フランスの人たちが好むフレンチタッチのデザインをまとっているということを全面的に押し出したものだ」と大極氏。

そしてもうひとつの魅力として、リアエンジン、リアドライブによる走りの良さがある。「このレイアウトは市販車ではあまりないパッケージング。そこにマニュアルトランスミッションを搭載し、さらにルノー・スポールがスポーツモデルに相応しいモディファイをしたクルマがこのトゥインゴGTだ」と説明した。

実は、このトゥインゴGTの導入は、マニュアルとツインクラッチのバリエーションで来年の第1四半期を予定していた。しかし、『カジャー』と同様、「こういう素晴らしいクルマをいち早く日本でも味わってもらいたいと、マニュアルのオレンジだけでもいいからと、かなり激しい交渉をした」と大極氏。その結果、「なんとか200台限定ということで、先行生産をして今回の発売につなげることが出来た」と述べた。

ルノー・ジャポンとしてはもうひとつ年内に導入したい理由があった。それはルノーF1が1977年に参戦して以来、今年で40周年を迎える。そこで是が非でもスポーツモデルを導入したかったのだ。

◇ルノー・スポールが手掛けたGTモデル

トゥインゴGTの開発はルノー・スポールが手掛けている。同社マネージングダイレクターのパトリス・ラティ氏は、「RRモデルの開発はルノー・スポールにとって大変なチャレンジだった。しかし、そのチャレンジを乗り越えることで、とてもバランスの良いファントゥドライブなクルマに仕立てることが出来た」とコメント。

エクステリアデザインで目に付くのは、ボンネットからルーフに続くデカールだ。これはNACAダクトからインスパイアされたものである。また、リアフェンダーにエアインテークが設けられた。「リアエンジンを象徴し、実際に大きな効果をもたらしている」とは、ルノー・ジャポンプロダクトプランニング部の近棟伸邦氏の弁。

大きくその効果は2つある。ひとつは流入する空気の温度を下げることだ。「ノーマルモデルに比べて12%温度を下げることに成功。その結果充填効率が高くなった」という。また、吸入量も23%向上。これらにより、「ターボの回転を上げることが出来、出力向上に大きく貢献している」と説明。

また、ホイールは17インチアロイホイールを採用。そのデザインは、2013年のコンセプトカー、『ツイン・ラン』のデザインをそのまま採用している。デュアルエキゾーストパイプも専用デザインだ。「排気の流れや排気圧ともに見直し最適化することで、エンジンの出力がアップ出来ている」という。

インテリアは、ノーマルモデルがポップな印象を与えているのに対し、GTはスポーティなイメージに仕上げられた。「オレンジを効果的に配し、新色のグレーをダッシュボードに使うことによりスポーティで少し男性的な印象を与えている」と近棟氏。

シートはレザー調とファブリックのコンビネーションで、ドアトリムにもレザー調を使用。これらにより、「上質な雰囲気を作り出している」

搭載されるエンジンは109psと、標準の0.9リットルターボエンジンと比較し、19psアップ。トルクも170Nmと35Nm向上している。組み合わされるトランスミッションは5速マニュアルで、ZAMAC製のシフトノブが標準装備される。

このエンジンを受け止めるシャシーもルノー・スポールの手による専用設計だ。フロント、リアともスプリングとダンパーをチューニングし、40%剛性アップ。さらにスタビライザーも径を太くした。ESCの制御も変更。「タイトコーナーでアクセルを踏むと、ESCが介入する前に僅かだが、ドリフトを感じてもらえる制御となっている。ルノー・スポールのチーフエンジニアも、RRらしい典型的なドライビングを楽しんでもらいたいとコメントしている」と近棟氏は伝える。

ステアリングにも手が加えられた。近棟氏によると、「精緻なハンドリングと小回り性を両立するために、バリアブルなギアレシオを採用。フルロックに近いところでは、タイヤはより大きく切れステアリング操作を助ける(ハイギアレシオ)。一方、中立付近では小さく切れる(ローギアレシオ)ことで、正確なドライビングが可能なギアレシオを採用している」と説明。

こういった専用の仕様・装備により、0-100km/h加速は9.6秒、80km/h~120km/h加速は8.3秒を達成している。

最後に同社マーケティング部マネージャーのフレデリック・ブレン氏は、「来年導入されるカタログモデルとは、仕様・装備が違う」と今回の限定車はあくまでも今回のみの仕様であることを強調。また、この200台の売れ行きが、「来年導入のGTのポテンシャルを図ることが出来るだろう」とし、このGTが、「トゥインゴ全体の2割ほどのシェアを確保出来れば」と主力グレードのひとつに育ってほしいという思いを語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
  2. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  3. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  4. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
  5. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る