将来は変電所いらずに!?---JR東日本が回生電力を有効活用する実証実験

鉄道 テクノロジー
列車位置情報を活用した充放電制御の仕組み。列車に設置された試験用端末が位置情報を取得し、それを回生電力貯蔵装置がある大貫変電所へ伝える。
列車位置情報を活用した充放電制御の仕組み。列車に設置された試験用端末が位置情報を取得し、それを回生電力貯蔵装置がある大貫変電所へ伝える。 全 3 枚 拡大写真

JR東日本は10月10日、変電所設備のスリム化や、列車位置情報を活用した効率的な蓄電池の充放電制御に関する実証実験を、10月25日から千葉県の内房線内で行なうと発表した。

変電所は、発電所から送られてきた電力を電車用に降圧し送電する設備だが、直流電化区間では数kmごとに必要になるため、そのスリム化やメンテナンス省力化などが課題となっていた。

そこで、JR東日本では、拝島・桶川・久喜の各変電所で、複数の機器を代替する「回生電力貯蔵装置」の設置を行なっている。

この装置は、電車のブレーキ時に発生する電力を架線に戻す「回生電力」を、蓄電池を通して充放電することで電車へ電力を供給するもの。

通常、回生電力は、電力を受ける電車がある程度の距離にいないと失効してしまうため、これを蓄え、必要に応じて放電するというシステムが考案された。

回生電力は架線電圧より高い電圧にしないと効果を発揮できないことから、このシステムでは充放電が架線電圧の値によって制御されているが、これでは電車が電力を必要としない場合でも充放電が行なわれてしまう。蓄電池はそのことを考慮して大容量にする必要があったことから、GPSを通した列車位置情報を活用することで、電車が電力を要する適切な位置に在線した時に限って充放電するシステムが開発された。

これにより、蓄電池の小型化や長寿命化が期待できるとされており、JR東日本では内房線君津駅(千葉県君津市)~上総湊駅(千葉県富津市)間にある大貫変電所で、2018年6月までの予定で、これらの実証実験が行なわれることになった。

実験では、「回生電力貯蔵装置による列車への電力供給データの取得」「回生電力貯蔵装置の列車位置情報を用いた制御方法の優位性の検証」「隣接変電所の異常時を想定した、回生電力貯蔵装置による列車への電力供給データの取得」を行なうとしており、変電所の機能がなくても、電車へ必要な電力を供給することができるのかを検証する。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産『マイクラ』新型、“SUV風デザイン”の小型EVになって登場
  2. トヨタ『RAV4』新型を世界初公開、3つのスタイルで進化 日本発売は2025年度中
  3. アルピーヌ『A390』発表直前プレビュー! マカンよりかなり小さいボディから600馬力!?
  4. メルセデスベンツ『Cクラス』新型、量産仕様のプロトタイプがついに出現! 変更点を完全解説
  5. 【スズキ ハスラー タフワイルド 新型試乗】“クラシック・ミニ”の面持ちを思い出す…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 【学生向け】人とくるまのテクノロジー展 2025 学生向けブース訪問ツアーを開催…トヨタ、ホンダ、矢崎総業、マーレのブースを訪問
  2. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
  3. 地域再エネ活用の収益を還元、ホンダ N-VAN e:を茨城県神栖市へ無償提供
  4. シェフラーがヴィテスコ合併後初の出展、ポートフォリオ拡大と顧客対応力をアピール…人とくるまのテクノロジー展2025
  5. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
ランキングをもっと見る