【東京モーターショー2017】工具に起こっている3つの進化ポイントとは?…KTC

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KTCブース(東京モーターショー2017)
KTCブース(東京モーターショー2017) 全 14 枚 拡大写真

日本を代表する工具メーカー、KTC(京都機械工具)は、東京モーターショー2017に出展。これまでと少し異なる趣向の展示を行っている。

【画像全14枚】

工具の世界にもICTの導入が始まっている昨今。次世代開発本部 次世代工具開発室の高橋広 室長は、今回の展示について「工具の世界で起きている3つの進化を、『新・工具大進化』というテーマでまとめました。3つの進化とは、構造・機構の進化、材質の進化、統合の進化です」と話す。

構造・機構の進化

構造・機構の進化とは、軽くて強い工具を作るためのアプローチだ。構造を最適化して、強度はそのままに軽量化するという研究で、京都大学の西脇研究室と産学連携で進めているという。ブースには試作モデルと比較モデルの工具が展示されている。手にしてみると重さの違いを十分に感じることができるが、強度は同一レベルだ。

高橋氏は、「KTCでも、これまで材質や表面処理にこだわって軽さと強さを追求してきましたが、トポロジー最適化という、もともと構造物やロボットのアームなどに使われる手法を工具に取り入れています。コンピューター解析することによって、たわみが起きない部分を測定し、肉抜きを行っています。強度を確保しながら軽量化することができました」と話す。

軽量化をするという大きな制約の中で加重をどこまで大きくできるかが狙いだという。材料の削減にもつながり、コスト面や環境配慮でもメリットがある。さらには、これまでにない機能を実現する形状を持った工具の開発にも応用できると考えているそうだ。

材質の進化

工具の新素材としては、いま話題のCNF(セルロースナノファイバー)の活用を検討しているという。CNFは樹木の繊維をナノレベルまでバラバラにし、再度成型したもので、木のように軽量でありながら、非常に硬く強くすることができる注目の新素材だ。

「CNFはこれまで、プラスチックに少しのCNFを混ぜて作ることが多かったのですが、大阪の利昌工業という会社が作成したCNF純度の高い素材を利用して、工具を作れないか研究しています。CNFは絶縁性があるので、EVなどの整備シーンにおいても活用できないかと思っています」(高橋氏)。

CNF100%の素材は材木と変わらず、燃やしても基本的には問題はないという。ハニカム構造にすれば軽くて鉄よりも固い材質となる。プラスチックのようにたわまないのも利点だ。鉄やプラスチックに比べると水には弱いが、フィルムコーティングなどの策を取ることで解決できる。

「問題は、加工性が低いこと。そこで、板状のCNFを積層にして立体形状にするなど、工具にするためにいろいろと工夫をしているところです」という。形状を最適化して先端は金属、グリップはCNF、という工具が将来誕生するかもしれない。

統合の進化

統合の進化とは、ICTと工具が統合することによる新しい価値である。例えばトルクレンチについて言えば、熟練の職人であれば正しく使うことができるが、近年は期間工や海外の人材などが増え、厳密な締め付けトルク管理ができないケースも出てきている。トルク軸にかかる力は正確に管理しなければならない。締め方が足りないのはもちろんだが、締めすぎもネジが延びてしまい破断を招くため危険なのだ。

さらに、飛行機や新幹線の一部、発電所などのプラントなどでは、非常に厳密な管理が求められる場合があり、また作業の客観性も必要になっているという。作業の様子を遠隔監視する場合もあるそうだ。

「普通にネジを締めて終わり、という時代は終わりました。どのくらいのトルクで、いつ誰がが締めたか、緩んだり締めすぎたりしていないかをチェックする必要がある。これまでの人に頼った自主管理から、デジタルトルクレンチによって数値で管理し、さらにその数値と作業のタイムスタンプを、遠隔のデータベースに転送して、客観的なデータとして残すことができるシステムを展示しています」と高橋氏。

ブースには、大阪のウエストユニティス社と共同で開発を進めている作業管理システムが展示されていた。デジタルトルクレンチとウェアラブル機器、PCが置かれており、作業者はグラスに表示される指示に従って進めていく仕組みだ。デジタルトルクレンチにはセンサーと通信機能がついており、ネットワークでPCと連携。作業を完了すると写真がウェアラブル機器によって写真が撮影されログが残る。

「これからは、作業員の記憶や自主管理に頼るのではなく、作業の厳密性とともに客観性も求められるようになります。これをトレーサビリティと呼んでいます。トレーサビリティは安全というサービスですから、今後カーディーラーなどでも求められていくようになると思う。ここではハイレベルなコンピューターを使っていますが、もっと小型化したりスマートフォンで見られるように対応すれば普及させられるとも考えています」(高橋氏)。

《佐藤耕一》

日本自動車ジャーナリスト協会会員 佐藤耕一

自動車メディアの副編集長として活動したのち、IT企業にて自動車メーカー・サプライヤー向けのビジネス開発を経験し、のち独立。EV・電動車やCASE領域を中心に活動中。日本自動車ジャーナリスト協会会員

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