【WTCC 日本ラウンド】期待を一身に背負って臨んだ母国戦、ホンダ・道上龍の闘いはいかに

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WTCC 日本ラウンド(ツインリンクもてぎ)
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世界ツーリングカー選手権(WTCC)が10月29・30日にツインリンクもてぎで開催された。WTCCはF1やWECなどと同様に世界を転戦する選手権レースで、アフリカ大陸のモロッコで開幕戦が行われた後、ヨーロッパ、アジア、南米、中東をめぐり、全10カ国で開催される。日本はその中でポイント争いが熾烈になる後半の第8戦に組み込まれ、今年のシリーズ結果を左右する重要な一戦となっている。

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F1と並ぶ世界選手権に参加するのはトップクラスのドライバーたち。日本からは唯一ホンダがドライバーチャンピオンとマニュファクチャラータイトルをかけて、『シビックタイプR』をベースにしたWTCC専用のレーシングマシン3台で参戦。現在チーム、ドライバーともボルボと熾烈なタイトル争いを行っている。 

そこに今シーズンからは日本を代表するドライバー、道上龍が2人の外国人ドライバー(ディアゴ・モンテイロ選手、ノルベルト・ミケリス選手/Castrol Honda World Touring Car Team)とともにフル参戦。道上龍のキャリアは長く、鈴鹿で行われた94年のF3デビューレースで優勝を飾り、その後、ホンダのワークスドライバーとしてかつてのJTCCや、現在のSUPER GT、スーパーフォーミュラなどで多くの勝利やシリーズチャンピオンの実績を残している。

ホンダを代表する長いドライバー経験をもとに、シビックタイプRとともに世界を転戦し、今年の10月いよいよ日本に帰ってきた。このもてぎでスポット参戦してから一年、熾烈な争いを繰り広げてきた道上選手と、ホンダチームの闘いのぞいてみた。

天候に翻弄されたもてぎ戦

一年ぶりに会った道上選手にレース前に話を聞いてみると、「台風の影響で上海からのマシンの輸送が遅れて、もてぎでの走行は急きょテスト車両で行い、本番用に乗れたのは直前なんです」といつも通り淡々と語ってくれている一方、タイトなスケジュールでの慌ただしさは隠せない。

台風の影響はレーススケジュールも大きく変更され、予選決勝が31日の1DAYで行われ、前日のテストも台風接近の影響でウエットコンディション。「ウエットコンディションでのテストは手応えはありました。多くのファンが待ってくれているし、何よりも母国への凱旋という思いも強く、良い走りができたと思います」(道上選手)。

F3のデビュー当時から道上選手のウエットでの速さには定評がある。チームメイトだったころ、私も道上選手ならではのラインを教えてもらい、目から鱗が落ちる思いがした。今回も同様なのだろうか?

「いや、もちろんそれもあるけれど、今年一年世界の強豪とともに走ってきて教えられたこともある。WTCCに出ているトップドライバーの走らせ方は、マシンや、環境、コースによって対応力が高く、実戦でそれを常にトライし、結果に結びつけている。雨のライン取りも同様で、ボクの理想とは異なる走りに驚かされることも多い。タイムを削り取れたのはこの1年の経験もある」。

道上はどう走ったか

実際に、台風に見舞われた大雨の週末、道上選手は常にトップ5に入るほどの好タイムを連発。「今回から投入されたマシンの仕様はエンジン、シャシともに大きく進化してました。コントロール性に優れていて感触は良く、チームが徹夜で仕上げてくれたことにも感謝してます」と話していた。

結果、予選ではトップ5台が最終予選に挑むQ3に初進出。決勝でもオープニングレースで大きくジャンプアップし、決勝レースでも上位でサイドバイサイドの激戦を繰り広げた。

「予選は今までの経験が生きて良い結果が残せました。目標だったQ3にも進出できて、チームの期待にも応えることもできました。決勝もオープニングレースでWTCCならではの接近戦をうまくクリアできました。ただ、上位に近づくにつれ、その頻度やプッシュが強くなり、見極めがとても難しかったですね」。

オープニングレースではエンジン交換の実施により最後尾からスタートとなるも9位まで追い上げ、貴重なポイントをゲット。メインレースは5位のポジションからスタートしたがブレーキトラブルでリタイヤ。雨量が増し直後にペースカーが入りそのままレースは終了した。

「結果からすればコースに残ってさえいれば5位でチェッカーを切れたと思うけど、トップグループでの走りはとてもプッシュがきつく、そんな中で守りの走りはできないし、一瞬のスキもあたえられない。今までの中盤のポジションではあまり経験のない、激しい戦いがあることを今回は身に染みてわかった。

攻めた結果のブレーキトラブルだったかもしれない。トラブルは残念だったし、上位に入れるチャンスを逃したのは残念だったけど、トップグループでの戦い方が理解できたことは収穫だし。自信にもなった」。

接触が激しいなかでも今回から投入されたNEWマシンの手応えも良く、世界選手権のトップドライバーとして積極果敢に攻める道上選手に多くのファンを感動させたことだろう。

次戦マカオはどう闘う?

「上位でレースができることに、ホンダとマシンを仕上げてくれたチームに感謝するとともに、多くのファンが応援してくれたことはとても励みになりました。母国グランプリで記憶に残る走りができたことはうれしいです。残り2戦では結果に結び付けていきたいと思うので、期待して下さい」と道上選手は語る。

マシンがどんなに進化してもWTCCには格闘技のような競り合いや、市街地コースも多く、一年戦い抜くには大変な苦労があるに違いない。

「確かに事前走行もできぬまま、いきなり初めてのサーキットに行って、45分×2本の走行のみで予選、決勝を戦うのは大変ですね。ただ、市街地コースに関してはモロッコもポルトガルも意外と肌に会いました。週末にかけて市街地の路面が徐々に変化していくんですね、走るほどに。グリップが変化していきます。その路面にマシンを合わせ込んで行くことが大事なんです。その合わせ込みが出来れば走りはうまくいきます」。

デビューレースのモロッコで貴重なポイントを上げている。次回のマカオはその市街地のなかでも、もっとも過酷なコースと言われているが、道上選手はF3時代に経験済みだ。

市街地コースでの相性の良さと、マシンの仕上がり、もてぎでの活躍を見ると、道上選手の走りには大いに期待できそう。日本人唯一のWTCCワークスドライバーとしてホンダとともに世界選手権を戦う道上選手とシビックタイプRから残り2戦は目が離せない。マニュファクチャラーとチャンピオン争いにも乞う御期待。マカオ戦は11月17~19日に開催される。

《瀬在仁志》

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