日産自動車が11月8日に発表した2018年3月期の第2四半期累計(4~9月期)連結決算は、国内工場での完成検査不正など関する費用計上が影響し、営業利益は前年同期比17%減の2818億円となった。
通期予想はその影響を織り込み、営業利益のみを400億円下方修正した。第2四半期累計のグローバル販売は5%増の273万3000台と堅調だった。検査不正の影響が顕在化していない日本は『セレナ』や『ノート』が好調に推移し、昨年には燃費不正で軽自動車の販売が中断したこともあって34%増の28万台と大きく伸ばした。中国(1~6月分)は7%増、また、年初から市場が鈍化傾向にある北米は、1%減となった。
営業利益段階では原材料費の上昇で465億円、米国でのインセンティブ積み増しなどによる販売費増で960億円が減益要因となった。さらに、検査不正に伴うリコールなどの関連費用と、タカタ製エアバッグに関する米国での集団訴訟和解費用の計408億円も悪化要因となった。
これに対し、購買費用などのコスト改善は968億円だった。同期の為替レートは1ドル111円で、前年より約6円の円安で推移し、293億円の増益に作用した。売上高は6%増の5兆6525億円、純利益は2%減の2765億円だった。
通期の予想は、検査不正によって発生するリコール費用などの影響を受ける営業利益について、従来の6850億円(前期比8%減)を400億円引き下げて6450億円(13%減)とした。純利益の5350億円(19%減)や売上高の予想は据え置いた。
記者会見した西川廣人社長は、今期業績について「今年度末にかけて国内販売、米国市場の全体需要の推移やインセンティブの拡大、さらに原材料価格の上昇といったさまざまなリスクがある。一方でコストの効率化が進んでおり、中国の販売は非常に好調に推移している」と指摘。そのうえで「好機を最大限生かし、リスクの影響を縮小すべく取り組みたい」と述べた。検査不正については会見の冒頭で陳謝し「再度信頼を取り戻せるよう全力を挙げたい」と語った。再発防止策については来週中に国土交通省に提出する予定と明らかにした。