官民ファンドが長崎県の島原鉄道を支援…長崎自動車の傘下へ

鉄道 企業動向
現在の島原鉄道の終点・南島原駅で発車を待つキハ2500形気動車。REVICの支援が決定した島原鉄道は、今後、長崎自動車をスポンサーとして再建へ乗り出すことになる。
現在の島原鉄道の終点・南島原駅で発車を待つキハ2500形気動車。REVICの支援が決定した島原鉄道は、今後、長崎自動車をスポンサーとして再建へ乗り出すことになる。 全 1 枚 拡大写真

株式会社地域経済活性化支援機構(REVIC)は11月13日、長崎県の島原鉄道に対して、「株式会社地域経済活性化支援機構法」に基づく再生支援を決定したことを明らかにした。

REVICは、有用な経営資源を持ちながら、多額の負債を抱えている中堅・中小事業者などを支援する官民ファンド(政府と民間で出資した日本の政府系ファンド)で、2009年10月に「株式会社企業再生支援機構」として設立された。

支援の対象となった島原鉄道は、諫早駅(諫早市)と島原外港駅(島原市)を結ぶ島原鉄道線や、バス、フェリーなどを運営しており、島原半島一円の総合的な交通事業を担う企業として知られているが、1990年代以降、雲仙普賢岳の噴火災害や沿線の少子高齢化などにより経営環境が悪化。2008年4月には島原外港駅~加津佐駅(南島原市)間が廃止されている。

国や自治体からの補助を受けているものの、2011年度より純損失を計上するようになり、2017年度3月期は、18億2200万円の売上高に対して、2億5700万円の経常損失を計上している。

このような状況を受けて、財務体質の抜本的な改善が必要と判断した島原鉄道側は、関係金融機関と協議の上、長崎市に本社を置くバス事業者である、長崎自動車にスポンサーを要請、連名でREVICへ支援を申し込んだ。

これに対しREVIC側は、島原鉄道に代わる主要な公共交通機関が島原半島にないこと、島原鉄道が地域雇用に一定の役割を果たしていること、有明海や天草諸島など、観光資源が豊富なことなどを考慮し、島原鉄道を「長崎県島原半島を中心とした地域経済活性化の観点から十分な意義が認められるもの」としており、今後、総額6750万円の出資や経営人材の派遣を進めるという。

今回の決定により、島原鉄道はREVICや長崎自動車に対して総額1億8000万円におよぶ第三者割当増資を行ない、関係金融機関から債務の一部免除を受ける予定としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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