利用者情報が生かされず復旧長引く…東急・池尻大橋駅の送電線ショート運休

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東急田園都市線・池尻大橋で発生した架電ショートの現場。架台に載っている丸いパイプのようなものがき電ケーブル。下から見上げた状態
東急田園都市線・池尻大橋で発生した架電ショートの現場。架台に載っている丸いパイプのようなものがき電ケーブル。下から見上げた状態 全 3 枚 拡大写真

東京急行電鉄・田園都市線の池尻大橋駅ホームで15日早朝、送電線がショート。通勤時間帯の運休で約12万6400人に影響が出た。同線・溝の口駅で電車を待つ女性の利用者1人が、混み合った構内で体調を崩して救急搬送された。

トラブルは池尻大橋駅ホームのほぼ中央、天井付近に架設された上り線の送電ケーブルで起きた。10両編成で4両目の車両停止位置の上だ。目黒区にある新大橋変電所から直流1500ボルトの電気を送る「き電ケーブル」で、架橋ポリエチレン樹脂の被膜が、何らかの原因で破れるなどして絶縁不良を発生。4本あるケーブルのうち1本の銅線の一部がむき出しになり、鉄製の架台に触れて溶けた。

送電線異常による影響は、5時35分に桜新町駅~駒澤大学駅を走行中の各駅停車車両の運転士が「車内の室内灯が半減している」「運転席にある架線電圧系が0ボルトになっている」という内容で、運輸指令所に通報している。さらに、この3分後の5時38分には、現場である池尻大橋駅ホームにいた女性客1人が駅係員に「火花が光った」と伝えた。

ところが、この利用者の情報が運輸指令所に伝えられる途中で喪失。8時44分まで認識されず、ショートした場所が特定できなかった。田園都市線は5時50分から渋谷駅~二子玉川駅で運休。運転再開は9時57分に長引いた。この間、田園都市線は二子玉川駅~中央林間駅で折り返し運転を続け、上り90本、下り65本の合わせて155本が運休した。

き電線は異常の見つかっていない3本で仮復旧し、同日の運転終了後に新しいケーブルを設置して本復旧する予定だ。

田園都市線は渋谷~二子玉川(当時は新玉川線)の開業から40年が経過。設備の老朽化によるトラブルが続いているが「通常は20年ほど使用するもので、2009年にケーブル交換が行われているため、老朽化によるものではないと考えている」(同社鉄道事業本部電気部)。ケーブル本体のもともとの不良、または設置時の不良が疑われている。銅線のケーブルは神戸製鋼所の製品ではない。
東京急行電鉄・田園都市線池尻大橋駅のき電トラブル。同社は危機感を強め、検査体制を強化…

《中島みなみ》

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