ドライブ・アシスタントしての音声認識技術の研究・開発を続けているニュアンス・コミュニケーションズは、11月17日、東京都内でプライベートなイベント「Nuance Auto Forum Japan 2017」を開催。一部内容を報道関係者にも公開し、合わせて登壇者との意見交換会も開いた。
ニュアンス・コミュニケーションズ(ニュアンス)は音声認識の各分野で幅広い利用実績を持っている会社で、その技術は iOSの音声エージェント「Siri」に活かされているとも言われる。それだけに各界で高く評価され、自動車の分野でもすでにトヨタ自動車をはじめ、BMW、フォード、メルセデス・ベンツといった自動車メーカーの純正車載システムに相次ぎ搭載。市販分野においてもパイオニアや富士通テン、パナソニックなどの車載機器メーカーにもその搭載は広がっている。
このフォーラムは、特にこの自動車関連に従事する関係者などを対象に、主としてUX(ユーザーエクスペリエンス)やUI(ユーザーインターフェイス)について、その可能性を探るイベントとして開催された。
この中で報道陣に公開されたのは、ニュアンスのパートナーとして自動車関連の調査・評価サービスなどを手掛けるSBD(本社:英国・ロンドン)が主催した特別講演。登壇者はSBD シニア・テクニカル・スペシャリスト UXストラテジー&リサーチのパノス・コンスタントプロス氏。シームレスでストレスフリーなユーザーエクスペリエンスの実現について、音声認識の統合に焦点を当てたプレゼンテーションを行い、顧客の期待に応えるためにOEM側は今後、より柔軟なアプローチと共に頻繁なアップデートが必要になると語った。
プレゼンテーションの後で開かれた意見交換会には、ニュアンスのアダム・エムフィールド氏も出席。米国内で開設した研究所「Drive Lab」を紹介し、そこでは様々なプランニングされたアイデアを検証するために、実際に路上でのテストを行なっていると説明。
その上でニュアンスとして、「今後目指しているのは自然言語を介した音声認識で、既に基本技術は確立しているが、それが実装されるのは3~4年後のことになる。一方でマイクなどシステム側の問題で認識率が下がることもあるので、ディープラーニングやAIによる精度向上を目指すと共に取り組みを強化していく」と今後取り組む方向性について語った。