大型船のスクリューもCFRPの時代…三菱ケミカル【先端材料技術展2017】

船舶 テクノロジー
三菱ケミカルのブースに展示されていたCFRP製スクリューのカットモデル。
三菱ケミカルのブースに展示されていたCFRP製スクリューのカットモデル。 全 2 枚 拡大写真

航空機やクルマの分野では採用が進むCFRP。しかし船舶、それも大型船舶となるとそもそも全てが大きく重く、頑強な作り。あまり軽量化を考えているとは想像できない。

【画像全2枚】

しかし船体を推進させるスクリューにもCFRPが使われる時代になったのだ。三菱ケミカルのブースでその実物を見た。金属製に比べCFRP製にすることのメリットは、より強度が高く比重が5分の1と軽いのでスクリューを大きくすることが可能になり、プロペラ性能が向上して燃費が改善されるそうだ。さらにプロペラから船体に伝わる振動や騒音も軽減されるため、船内の居住環境もより快適になると言う。

展示されていたのは固定翼の小さなスクリューのカットモデルだったが、実際に採用されているのはLNG運搬船で、可変ピッチの巨大なプロペラ。軽く大きなプロペラは金属製に比べて耐久性はどうなのだろう、と思ってしまうが、もちろん試験済みであろうし、同社の子会社でまずは採用して試しているところのようだ。

今後、紫外線にも強い樹脂などを使って船体部分のCFRP化も進むのだろうか。そもそも鋼鉄製の船は船内の荷物を含んだ比重で海水より軽いから浮いている訳で、ここを軽量化してもあまり効果がないように思える。しかしエンジニアの発想力は、時に常識をブチ破って新しい構造やデザインを成し遂げてくれることすらある。

これから海上輸送の分野もマルチマテリアル化が進んでいくのかも知れない。

(先端材料技術展2017:11月29日~12月1日、東京ビッグサイト)

《高根英幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 日産『ムラーノ』、「プロパイロット」搭載でハンズフリー運転が可能に…米2026年モデル
  2. トヨタの最高峰、新型センチュリーは2ドアに、レクサス『LS』は6輪ミニバンに大変身…ブランド新戦略発表
  3. 【ダイハツ ムーヴキャンバス 新型試乗】「ワゴンRスマイル」と双璧をなす“癒し軽”…島崎七生人
  4. 新型センチュリーは2ドアに、レクサス『LS』は6輪ミニバンに大変身…土曜ニュースランキング
  5. Singerのポルシェ911カレラクーペ、日本初公開へ…420馬力フラット6搭載
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る