トヨタ博物館にスウェーデンからボルボPV544がやってきた

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ボルボPV544
ボルボPV544 全 16 枚 拡大写真

ボルボ・カー・ジャパンはトヨタ博物館(愛知県長久手市)に『PV544』の寄贈を決定。12月15日にその寄贈式典が行われた。

◇ボルボを寄贈したい

ボルボ・カー・ジャパン代表取締役社長の木村隆之氏が、プライベートで「ボルボアマゾンクラブ」の面々と昨年の10月にトヨタ博物館に見学に訪れたときのこと。そこで、トヨタ博物館館長の布垣直昭氏に館内を案内してもらいながら、「ボルボが1台もないことに気付いた」と振り返る。

「スウェーデン唯一のメーカーであるボルボは、安全を重視して、連綿とクルマの開発を続けてきた歴史がある由緒あるメーカーであるにも関わらず、このトヨタミュージアムに1台もないのは寂しい。何か1台寄贈させてもらいたい」と申し出たという。

更に、その布垣氏と木村氏は、トヨタ時代にベルギーのトヨタモーターヨーロッパで一緒に働いていたという縁もあったことが、このプロジェクトのスタートとなった。

そしてP544は、100万人以上の人命を救ってきた3点シートベルトを1957年に最初に標準装備したクルマということで寄贈車に選ばれた。

木村氏は、「去年の10月以降、レアなクルマでもあり、これだけコンディションの良いクルマを世界中から探すのは非常に大変だったが、スウェーデン本国のボルボミュージアムが助けてくれることになり、実際にボルボミュージアムのクルマそのものをスウェーデンから譲り受けて、トヨタ博物館に寄贈することになった」と語った。そして、「この素晴らしい意義のあるミュージアムに我々のクルマが置かれることを、ボルボの日本の代表として非常に幸せに思っている」とした。

◇PV544から始まった3点式シートベルト

今回の式典にはスウェーデン本国よりボルボ・カーズ・ヘリテージディレクターのペロオケ・フローバーグ氏が来日。トヨタ博物館の印象を、「素晴らしい豊富なコレクションであるということに感銘を受けた」とコメント。

日本への来日に備え、ボルボの歴史部門で、ボルボが初めて日本に導入されたのはいつかを調べた。「1951年に20台の『PV444』が日本に輸入され、その当時の日本語のカタログも我々のアーカイブスに保管してあった」と話す。

また、PV 544の特徴については木村氏と同様、フローバーグ氏も3点式シートベルトを挙げ、「安全に関わるエンジニアに、クルマの様々な安全装備の中で何かひとつだけしか付けられないとしたら、誰もが3点式シートベルトと答えるだろう」と述べ、「それを最初に標準装備したボルボ車を、トヨタ博物館にボルボを代表するクルマとして展示されるのは格別な思いだ」とコメントした。

◇クルマの背景にあるストーリーや文化を伝えたい

寄贈されたトヨタ博物館館長の布垣氏は、「我々の博物館はもちろんクルマというものを展示しているが、決してものだけを展示しているわけではなく、その背景にある幾多の情熱を傾けた人たちの思いや愛情、誇りを展示しているつもりだ」とし、「3点式シートベルトは安全を願って作られたわけだが、更に素晴らしいのはそういった特許をいち早く公共のために公開するということを決めたその志に敬意を表する」と述べる。

そして、「コンペティティブな社会の中で、その決断を下すのは難しいことだが、人々の命を救うことに垣根はないとして、決断をしたことは素晴らしい。1950年代という早い時期にそういったことをしたボルボ社の志を感じる」と印象を語る。

今後の展示について布垣氏は、「こういったクルマの背景にあるストーリーや文化をもっと伝えていかなければいけないと感じており、PV544の背景にあるスウェーデンのエンジニアたちの志や誇りを展示を通して伝えていきたい」とした。

今回の式典には、東京から自走でPV544が3台もお祝いに駆けつけ、式に華を添えていた。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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