ベントレー コンチネンタルGT 新型は若い世代や女性にもよりアピールしたい

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ベントレー・コンチネンタルGT
ベントレー・コンチネンタルGT 全 16 枚 拡大写真

ベントレーモーターズジャパンは、フランクフルトモーターショー2017で発表した『コンチネンタルGT』を日本でローンチした。

◇2017年は実り多き年

「2017年はベントレーモーターズジャパンにとって非常に実りのある年だった」と振り返るのは、同社代表のティム・マッキンレイ氏。「ベントレー初のSUV、『ベンテイガ』の導入により、年初から好調なスタートを切ることが出来た」という。更に、4月には新規ディーラーであるベントレー神戸をオープン。名古屋、広島のショールームを新しいCIでリニューアルもした。

また、『マリナー』の日本限定車導入も成功したことなどから、「販売台数も昨年同様、400台を超えることを予想している」と展望を語る。

そして、今回導入する新型コンチネンタルGTを、「未来を見据えたラグジュアリーグランドツーリングカーの新基準」と位置付け、「究極の“エクストラオーディナリー”なデザイン、テクノロジー、イノベーションが一体となったクルマだ」と紹介。デザイン、エンジニア、組み立ての全てが英国で行われるコンチネンタルGTは、「ベントレーモーターズが未来の成功への道を歩むマイルストーンだ」とした。

◇大ヒットとなったコンチネンタルGT

1952年にベントレーは『Rタイプコンチネンタル』を発表。「世界最速の4シーターで、瞬く間に究極のハイスピードラグジュアリーカーであると評判になった。そしてそのクルマが“ラグジュアリーグランドツアラー”という分野を確立した」とマッキンレイ氏。

このRタイプコンチネンタルにインスパイアされ、2003年に初代のコンチネンタルGTが誕生。W12気筒と四輪駆動、そしてラグジュアリーなインテリアとパフォーマンスの高さで、「モダンラグジュアリーツアラーとしての全く新しいセグメントを創造し、日本においても2000台以上のコンチネンタルシリーズが販売された」と述べる。

初代コンチネンタルGTは、6リットルW12気筒で560psを発揮。「4人の乗員を乗せ300 km/hで走れるクルマとして、世界中にセンセーショナルを起こした。日本においても価格が2000万円を切っており、非常に多くのお客様に受け入れられたクルマだ」と紹介するのは、同社マーケティング・PR・アカデミーマネージャーの横倉典氏。

第2世代は2011年に発表。「第1世代に乗っていたお客様の要望を大きく改善することに努めたクルマだ」とし、スポーティ性能においては、これまで50対50のトルク配分を、40対60に変えることでよりスポーティな走りを実現。その他、小物入れが少ないということから、収納スペースを多くしたり、もう少しスタイリッシュなクルマが欲しいという声もあったことから、スーパーフォーミング手法によるボディ成形で、「とてもグラマラスなボディを得ることが出来た」。また、環境性能においても、燃費が良いクルマという要望に応えるために、V8モデルを導入し解決した。

◇伝統を受け継ぎつつワイド&ローなデザイン

新型コンチネンタルGTはフランクフルトショー2017で一般公開。「アグレッシブになった、印象的だ、これぞベントレーだ、など多くのポジティブな意見をもらっている」と横倉氏。

新型コンチネンタルGTのキーワードについて横倉氏は、「これまでのベントレーではダイナミクスや、ラグジュアリー、パフォーマンスという言葉があてはまって来た。そこにヤンガーであるとか、フィメール・女性的、スタイリッシュといった、新しいキーワードで語られるようになった」という。つまり、「より多くのお客様にアピール出来る、全方位的に新しいお客様を獲得出来るクルマとなった」と話す。

コンセプトカー『EXP10Speed6』をベースとしたエクステリアデザインのインスピレーションは、「戦闘機や現代的な建築物などの、精緻で力強い印象の残るものから得ており、ボディの滑らかさなどの部分もそういったところを反映している」と説明。

これまでドア部分にスチールを使っていたが、新型コンチネンタルGTはトランクリッド以外は全てアルミ製ボディになった。トランクリッドがアルミニウムではない理由は、「ここにアンテナを配しているので電波の妨げにならないよう、トランクリッドだけはコンポジットを使っている」とし、これによって「85kgの軽量化を実現し、動力性能に大きく貢献している」と述べた。

新型の全体的な印象について横倉氏は、「ワイド&ローに見せるべく、フロントグリルを大きく下げた。これによってクルマが地を這っているよう、低く見えるフォルムを実現した」とその特徴を語る。サイドビューは、Rタイプコンチネンタルからの特徴の、「フロントフェンダーからドアに流れるパワーラインと呼ばれるラインと、リアフェンダーにかかるハウンジラインという伝統的なラインを継承。非常になだらかなルーフラインもRタイプコンチネンタルから受け継がれたデザインキューだ」と話す。

また、フロント周りでの大きな特徴は、フロントアクスルを前方に移動することで、Aピラーの付け根から真っ直ぐに下に下ろした線と、ホイールのセンター間での距離を先代よりも135mm長くした。これにより、ショートオーバーハングでありながら、エレガントかつスポーティなイメージを表現。また、「タイヤが四隅にきちんと配され、ロングホイールベースも獲得することで、乗り心地も向上。しかもエンジンのマウント位置をやや後ろに下げることが出来たので、重量配分も改善し、デザインだけでなくスポーティ性能も向上させている」と述べた。

◇変貌を遂げた新ヘッドライト

コンチネンタルGTの印象を大きく変えている部位にヘッドランプがある。LEDマトリックス技術を使い、「ヨーロッパのクリスタルカットグラスをイメージしてデザインされた」と横倉氏。「今回のこの技術は、おそらく自動車ではあまりなかった光り方をするライトなので、道を走っているコンチネンタルGTを見たら、一目でわかってもらえるだろう」という。

リアも同じくLEDのマトリクステクノロジーを採用。これまでのベントレーのリアランプ同様楕円形をモチーフとしているものの、「レーシングカーのアフターバーナーをイメージして光るLEDランプに変わった」とその特徴を語る。

細かい特徴として横倉氏は、「これまでBENTLEYというブランドバッチやモデルバッチを付けたことはほとんどなかったが、このクルマには装備される。これによってマークはわかるが、どこのブランドかはわからないというお客様に対してアピール出来、プレゼンスが高められるのではないか」とコメント。レスオプションとして12気筒を示す「12」や、「BENTLEY」のブランドネームのロゴを外すことも可能である。

◇初の試み多数のインテリア

インテリアデザインは、これまで同様、「ウイングドB」(Bの文字を中心に羽を広げたようなデザインのエンブレム)からインスピレーションを得て、左右に大きく広がるイメージだ。これまでよりも、「サイドの部分までウッドが伸びており、更に広がりが感じられるだろう」と横倉氏。

今回、コンチネンタルGTのインテリアでは、ベントレーとして初の試みがいくつかなされている。そのひとつはデジタルメーターの採用だ。横倉氏は、「デジタルだからといって、ギミックにこだわるのではなく、あくまでも綺麗にアナログメーターを見せ、かつ機能を充実させる目的で採用した」とその理由を述べる。顧客の要望によってはタコメーターとスピードメーターを入れ替えたり、ナビゲーションを中央に表示したり、ナイトビジョンを表示することも可能だ。

また、新たなオプションとしてセンタークラスターに配されるローテーションディスプレイがある。「三角柱のパネルがぐるぐる回転するもので、エンジンをかけると12.3インチのナビゲーションスクリーンが現れ、そこでナビゲーションをセットしたり音楽を聴いたりすることが可能だ。一方でもっとドライビングに集中したいというシーンでは、そのスクリーンを回すとアナログメーターが3つ並んだ面が出てくる」。そこには、外気温度、コンパス、クロノメーターが表示され、「あまり使う頻度はないかもしれないが、かつてのベントレーボーイズが使っていたメーターを復活させるようなイメージで作られた」と説明。エンジンを切ると元のウッドパネルに戻る。

◇手の込んだ細工の数々

ラグジュアリーの向上という視点では、新しい装飾手法が採用された。これまでベントレーのインテリア、特にアルミパネルに関してはエンジンターンド仕上げと呼ばれる銀杏のような模様が描かれたものと、シフトノブなどに施されているローレット加工が特徴的だった。しかし、新世代のコンチネンタルを出すにあたって、新しい細工、デコレーションが考案された。そのひとつが“コートドジュネーブ”と呼ばれるものだ。「高級時計の内部構造からインスピレーションを得たもので、アルミパネルに波上の模様が入る。その幅は5mm、高さはわずか0.5mmと非常に細かい細工が施されている。

また、“ダイヤモンドナーリング”も新しい装飾方法だ。ダイヤルスイッチ類などにダイヤモンドのようにひし形の模様が配され、模様そのものにも0.3mmぐらいの段差があることから、触ると非常にグリップ感が良いものだ。横倉氏は「これまでのローレット加工のようにすべらない加工も考えられており、見た目も非常に華やかでありながら、触り心地も良いもので、エレガントさが増す仕様だ」という。

レザーにも新しく手が施された。“ダイヤモンドインダイヤモンド”と呼ばれるもので、これまでマリナーのオプションを選ぶと、ダイヤモンドキルトのレザー加工が施されていた。この中にもうひとつダイヤモンドの刺繍を配するものだ。「革に刺繍をすると革自体が約12%収縮してしまう。従ってこういう刺繍をし続けていくと真っ直ぐな線の刺繍がしにくくなる。それを解決するために約18か月間の期間を経て、ダイヤモンドキルトを真っ直ぐに並べて刺繍が出来るよう、新たなミシンを開発した。その結果、早く、そして革にダメージを与えずにしっかりと真っ直ぐに縫製出来るようになった」と明かした。因みに、ひとつのダイヤモンドをステッチするのに711ステッチが必要で、クルマ全体では31万ステッチ。1台に使用される糸の長さは2.8kmにもなるという。

◇次の100年に向けて

今回細工も含めてインテリアを大きく変更した理由について横倉氏は、「ベントレーモーターズCEOのウルフギャング・デュラハイマーの、次の100年に通用する、これまで通りのものではない、新しい何かを産み出そうという指示によるものがベースだ」とコメント。

また、「これまで『コンチネンタルGT V8』で多くの新しいお客様を獲得して来たが、今後はそれをより一層広げていきたい」と横倉氏。そして、「新型は12気筒なので、価格的には高いレンジのクルマだ。そこで、このクルマを高いから買わないというのではなく、高くても買いたいと思わせるようなクルマに進化させた。その結果、まだ12気筒は、とか、ベントレーはまだ、とか思っているお客様に、一歩踏み出せるエクスキューズが増えたと考えている」という。

そのエクスキューズは、「デザインが良くなった、安全性能が高くなった、もっとスポーティになった、乗って楽しいなど、そういうお客様の要望を解決する要素がかなり大きく増えたクルマということだ。つまり、これまでのベントレーのスポーティ性能とラグジュアリー性能の両方がレベルアップして魅力度が増したのだ」とした。

新型コンチネンタルGTでは、「女性が乗っても美しいし、女性にも興味を持ってもらえるエクステリアやインテリアに仕上がっている。また、若い人が乗っても格好いいだろう。これまでのベントレーは、ある程度年齢を重ねないと自分には似合わないと思っていた人たちもいるだろうが、スポーティなクーペに乗ってもらえる若い世代はかなり多いと思うので、そういう人たちに乗ってもらいたい」と語った。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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