ブリッドは、東京オートサロン2018で新たな境地へ飛び出す勢いを見せた。同社 高瀬嶺生社長は、初日にブースへ立ち、報道陣を前に3つの新たな動きを語り始めた。
同社は1月12日、新商品を3発立て続けに発表した。ひとつはマツダ『ロードスター』専用シート「モンテ・ミクラ」、2つめは「日本製のデニム生地を使用したスポーツシート」、3つめは「トラック専用シート『ZAOU（ザオウ）』」。
前出2つは業務提携によって実現した新製品、後者は業界初の試みで、同社がトラック向けシート事業に本格参入する最初のプロダクトだ。
商品化が待ち遠しいロードスター専用シート
「われわれブリッドは、大衆のジムカーナやダートなどをはじめ、モータースポーツに特化した商品づくりをすすめてきた。今回、シートづくりのプロ集団である、デルタ工業と業務提携し、マツダ『ロードスター』専用シート『BRIDE×Mu-Len Fantasista Monte Micra』を発表できることをうれしく思う」。
高瀬社長がそう語るように、ブリッドは、広島に拠点を持つシートメーカー デルタ工業と業務提携。「レーシングシートのブリッドと、座面構造に三次元立体編物（3D-NET）技術を注ぎ込むデルタ工業が手を組んで産み出された」というモンテ・ミクラをロードスターに実装し、展示した。
このモンテ・ミクラは、脊柱と筋肉を模擬した3Dネット吊り構造を採用。ムレにくく、長時間ドライブでも生理的疲労感が少ないといった特徴を持つ。「欧州のSUVにみられるシートと同様、ふんばり感があり、操縦安定性も向上させる」という。
同商品の発表には、デルタ工業の川崎数彦氏や、マツダに在籍していた小早川隆治氏なども登壇。川崎氏は「なんといっても、耐疲労性が優れている。身体を支える構造を、ゼロから見直し、身体の側面にある筋肉を、積極的に支える構造に」と解説。
「さらに、骨盤をしっかりホールドし、バネ性能も高くすることで、お尻から下の振動をおさえている。振動を減衰させながら戻すという収束方法に特徴がある。こうした特徴は、3Dネット吊り構造という技術が支えている」（川崎氏）。
カジュアルでメイドインジャパンなシートに着手
レーシングシートが売りのブリッドが、次の一手として目をつけたのが、“メイドインジャパンなカジュアルさ”。
同社は、岡山県に拠点を持つベティスミスと業務提携し、日本製デニムを使用したスポーツシートを開発。「ベティスミス大島社長から『ジーンズ生地でクルマのシートがつくれないか』と打診があった。こだわりはメイドインジャパン」と高瀬社長は振り返る。
「日本の職人が、オーダーメイドでジーンズをつくっている。そうした“日本の価値”が宿るものづくりに挑戦していこうという思いで、この日本製デニム生地スポーツシートを開発した。発売は未定だが、カジュアルで斬新なものを身につけたいというユーザーに向けて市販化をめざしたい」（高瀬社長）。
同社初のデニム生地採用シート『BRIDE×BettySmith』（参考出品）は、従来モデルとは一線を画したカジュアルなデザインが売り。インディゴブルー（ZETAIII・EURO-STERIIベース）、ブリーチブルー（VIOSIIIベース）などが展示されている。
トラック業界の運転環境をブリッドが変える
そして最後は、同社がトラック向けシート事業へ本格参入する最初のプロダクトとなるトラック専用シート「ZAOU」。
「現在、トラック運送業界では、深刻なドライバー不足に直面している。その原因のひとつが、過酷な労働環境。ブリッドは、サーキットなどを走るレーシングカーのシート開発で培った技術を、トラック分野に応用し、アフターマーケット業界初となるトラック専用シート『ZAOU』を開発。このザオウというネーミングには、『座席の王様』という意味が込められている」と高瀬社長。
このZAOUは、トラック特有のドライビングポジションと、高い位置のキャビンへの乗降に対応したフラット形状の座面が特徴。背もたれは適度に身体を包みホールド。表皮はスウェード調生地と、カーボン調PVCで、耐久性とスポーティなデザインを両立させたモデル。
「トラックは、ペダルを下方向に踏むようなペダル配置。座面はそれにあわせたかたち」と高瀬社長。「ターゲットは、4～10トントラックで、長時間乗るドライバーの視点に合わせた作りをめざす。今後、シート本体の性能も上げていきながら、市販化へと向かいたい。今春には、デビューさせたい」とも話していた。
