Y字スポークに秘められたレーシングテクノロジー…レイズ VOLK RACING TE037 G16

自動車 ニューモデル モーターショー
レイズ 営業本部 執行役員 山口浩司氏
レイズ 営業本部 執行役員 山口浩司氏 全 13 枚 拡大写真

国内レーシングシーンのトップブランドであるVOLK RACING。東京オートサロン2018で展示していた新製品「TE037 G16」には設計時から同社のレーシングテクノロジーが投入されている。メーカーであるレイズ 営業本部 執行役員 山口浩司氏にブースで話を聞くことができた。

Gシリーズは、重力を表す記号の他「Graduate(卒業)」という単語の頭文字でもあるという。レーシングホイール直系のブランドとしてVOLK RACINGにもいくつかのモデルがあるが、Gシリーズは、年齢や経験を経て、競技性能、走行性能の追求から卒業した世代を意識したモデルとして6年ほど前に作られた。

品質や性能に妥協することはなく、さらに洗練された走りを求めるユーザーのニーズにこたえるための高品質ホイールが設計コンセプト。G20、G25、G27、G50の次にラインナップに加えられたのがG16だ。

「G16の設計で取り入れたアプローチは、GT500やGT3で培ったレーシングホイールと同様な応力分散テクノロジー。リムとハブをつなぐスポークが、リム側からの入力、ストレスを自然に分散させる形状を鍛造ホイールで再現している」。

山口氏のいう応力分散とは、G16のY字のスポークがリム外縁からの入力を支えるとき、直線的な構造の交差点、継ぎ目のように角がでている部分に応力が集中することを避ける形状のことだ。このような場所は発熱したり破断ポイントになりやすい。そのため、応力をうまく逃がす構造、形状にスポークをデザインし、リムやハブとの接合部の形状を工夫している。

G16のメッシュスポークはV字のようだが、よく見るとなめらかな曲線が途中で合流するようなY字になっているのがわかる。この形状はGTマシンのホイールデザインにも採用されているという。

基本的にプレス工程で作り上げる鍛造ホイールの場合、型で作る鋳造ホイールよりデザインの自由度が限られる。細い部分や局面の形状が制限されるが、G16では、レイズの設計ノウハウと熟練の技によってこれを実現している。スポーク部分は正面からみると細くリムとの接合部も華奢にみえるが、少し角度をずらしてみると、奥行き方向への厚みが絶妙なテーパーで確保されているのがわかる。

ホイールの強度は素材でほぼ決まるが、剛性はデザインや構造によって変わってくる。通常のオフセットの場合、アウターリム側はハブやスポークで剛性は確保しやすいが、インナーリムは路面の入力によって2mmくらい動くことがあるという(山口氏)。アウターリムを含めたホイールの剛性、粘りをだすため、ホイール断面も部位によって厚みを変えている。ホイールの剛性は、ステアリングレスポンスやハンドリングにも影響を与えるため、これも設計ノウハウがつぎ込まれる部分だ。

G16は「ブライトニングメタルダーク」と「REFAB/ガンメタリック」の2種類のカラーが用意される。部ライトニングメタルダークの塗装はプライマリー、ベースコート、メタリック塗装という3段階の工程に、各工程ごとの焼き付け処理という3コート・3メークで行われる。REFABは、アルミ削りだしを磨き込んだ表面を再現するため、この工程に特殊なクリアコートが加わる。これをスポークの表面部分に施す。スポークの両サイドはガンメタリックの塗装をすることで、スポークの明暗が造形と構造を際立たせてくれる。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ショッピングセンターに320台の名車・旧車が大集結…第5回昭和平成オールドカー展示会
  2. 『V』クラスより上級のミニバンか? メルセデスベンツが2026年に『VLE』『VLS』導入へ…上海モーターショー2025
  3. 「通勤とか買い物にちょうどよさそう」オシャレ系特定小型原付『ウォンキー』にSNSでは反響
  4. 日産がエルグランドなど新型4車種投入へ…NISSAN START AGAIN
  5. 【VW ゴルフGTI 新型試乗】自動車を運転することが楽しかった時代に引き戻される…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 東レ、偏光サングラスでの利用を可能にする新たなHUD技術を開発…フロントガラス全面展開も視野に
  2. AI家電を車内に搭載!? 日本導入予定の新型EV『PV5』が大胆なコンセプトカーに
  3. 住友ゴム、タイヤ製造に水素活用…年間1000トンのCO2削減へ
  4. AI導入の現状と未来、開発にどう活かすか? エンジニアの声は?…TE Connectivityの独自リポートから見えてきたもの
  5. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
ランキングをもっと見る