ヤマト運輸、和歌山電鐵でも客貨混載輸送を開始 2月16日から

鉄道 企業動向
和歌山電鐵の車内に積み込む集配コンテナ。
和歌山電鐵の車内に積み込む集配コンテナ。 全 1 枚 拡大写真

ヤマト運輸は、2月16日から和歌山県の和歌山電鐵で客貨混載輸送を開始する。

和歌山電鐵は、和歌山駅(和歌山市)と貴志駅(紀の川市)を結ぶ営業距離14.3kmの貴志川線を運営しているが、客貨混載輸送は和歌山市内の田中口駅と神前(こうざき)駅の間で実施される。

神前地域の集配は、現在、トラックを使っているが、同地域の一般道路は狭いため、渋滞が解消した11時から行なっている。

今回始まる客貨混載輸送では、ヤマト運輸の社員2人が和歌山太田センターで荷物を集配コンテナに積み込み、田中口駅で列車に固定。7時15分発の列車に乗車し、神前駅に7時21分に到着した後は、8時から集配を行なう。

その際は、狭い道に対応するため、小回りが効く、コンテナと自転車をドッキングさせたリヤカー付き電動自転車が利用されるという。

これにより、ヤマト運輸では神前地区での配達開始時刻を、現在より3時間程度早めることができるため、集配効率が向上するとともに、和歌山電鐵にとっても、空いたスペースを活用することで新たな収入源を確保でき、より安定的な路線維持を行なえるとしている。

鉄道やバスなどにおける客貨混載輸送は、2016年10月に施行された流通業務の総合化や効率化の促進に関する法律である「物流総合効率化法」(物効法)の改正法が根拠になっている。

それまでの物効法は、「物流のコスト水準を下げ、国際競争力を強化すること」「温暖化ガス(二酸化炭素)排出量を削減し、環境負荷を軽減すること」を目的に制定されたものであることから、物流拠点の集約などが主眼に置かれ、ある程度の規模の物流インフラを備えた事業者が支援の対象とされていた。

しかし、近年は、物流業界におけるドライバー不足などが社会問題化していることから、改正法では「流通業務に必要な労働力の確保に支障が生じつつあることへの対応」が目的に追加され、物流インフラの規模に拘わらず、2つ以上の事業者が連携する事業に対しても支援を行なうことに改められた。

これを受けて、鉄道による客貨混載輸送では、昨年4月に佐川急便が新潟県の北越急行で開始。続く11月には、ヤマト運輸が岐阜県の長良川鉄道で、中部地方の鉄道では初めての客貨混載輸送実証実験を行なっている。

ヤマト運輸では、和歌山電鐵での客貨混載輸送を契機に、貴志川線の各駅でのオープン型ロッカー「PUDOステーション」設置や、手荷物の預かりサービス、配送サービスなども検討し、「地域のお客さまの利便性向上や観光振興に取り組んでまいります」としている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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