三菱電機は2月8日、周囲の歩行者や車両に対して光で車の動きを伝える技術「安心・安全ライティング」の進化について発表した。ドア開けや後退のタイミングに、車外センサーと連動して光で歩行者に注意喚起することが可能となる。
同社産業システムデザイン部の籠橋巧部長が説明会に登壇し、商品開発の背景を説明した。
「歩行者の死亡事故の約6割が夜間に発生しており、対策が必要な状況だ。そもそも車がどう動くかは、歩行者や他車から見て分かりにくく、挙動をもっと分かりやすく伝えるコミュニケーション技術が求められている。この問題は、自動運転車両においても同じだと考えている」
三菱電機では以前から、車両周辺の路面に光を照射し、車の動きを外部に対して表現するための研究開発を行ってきたが、今回の発表では特に、アニメーションの動きによって表現力を高めたところがポイントだ。
「光に動きを付けてアニメーションのように表現することにより、クルマがどう動くか直感的に伝えられたり、悪天候時でも分かりやすくなった。例えばバックをするときは、光が後方に大きく動くように表現する。また、接近センサーと連携することで、センサーの検知範囲に歩行者が入ると、警告を表示したりすることが可能だ」
アニメーションのような表現は、LEDによって実現された。LEDは、昨今は車載されることも珍しくなく、低コストで実現可能だとする。籠橋氏は、「車の動きをアニメーションによって表現できること、LEDにより低コスト化したこと」が同社の強みだと説明した。
2020年度以降の事業化を目指しており、すでに自動車メーカーとも情報交換を始めている段階だ。反応は非常によく、海外のメーカーからも引き合いがあるという。ただ課題としては、「路面に光を照射することや、法定灯火類以外の発光装置について、法的な裏付けを取っていく必要がある。国土交通省と議論していく」とのことだ。