【池原照雄の単眼複眼】VWが2年連続首位、中国好調のルノー・日産は2位に浮上…2017年世界販売

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フォルクスワーゲン・ゴルフGTE
フォルクスワーゲン・ゴルフGTE 全 3 枚 拡大写真

前年比プラスの7社は全て過去最高を達成

世界の自動車メーカーの2017年新車販売台数を連結またはグループベースで集計した。各社の発表データに基づくもので、一部は卸売りや出荷での集計となっている。

2年連続で首位になった独VW(フォルクスワーゲン)をはじめ10社の顔触れは16年と同じだったものの、1000万台規模の上位4社ではルノー・日産連合(三菱自動車工業含む)が4位から2位に浮上し、トヨタ自動車と米GM(ゼネラルモーターズ)がそれぞれ3位、4位へと1ランクずつ順位を下げた。また、前年割れしたGMや韓国ヒュンダイなど3社を除く7社は、すべて過去最高の台数となり、世界の大手各社は総じて市場の伸びを着実にキャッチしている姿が示された。

2017年の世界販売ランキング(カッコ内は前年順位と増減率、▲はマイナス)
1(1)VW 1074万台(4%)
2(4)ルノー・日産 1060万台(7%)
3(2)トヨタ 1038万台(2%)
4(3)GM 990万台(▲4%)
5(5)ヒュンダイ 726万台(▲8%)
6(6)フォード 660万台(▲1%)
7(7)ホンダ 530万台(7%)
8(8)FCA 474万台(0%)
9(9)PSA 363万台(15%)
10(10)ダイムラー 327万台(9%)
*FCAはフィアットクライスラーオートモービルズ

8年ぶりマイナスの米国を中国や日欧がカバー

17年の世界の新車需要は、日本自動車工業会の西川廣人会長(日産社長)が「米国はピークアウトしたものの、中国や欧州は順調であり、インドやASEAN(東南アジア諸国連合)もしっかり成長している」と評価したように、確かな足取りだった。09年に世界最大の新車市場となり、最多記録も更新し続けている中国は、小型車への優遇税制が縮減されたものの、前年を3%上回る2887万台となった。

2番目の大市場である米国は2%減の1723万台と、2年連続で過去最高だった前年までから一転し、リーマンショック後の09年以来8年ぶりのマイナスとなった。ただ、3年続けて1700万台を突破する高い水準であり、地合いとしては堅調さを維持した。また、欧州(EU28か国)は3%増の1513万台と、07年以来10年ぶりに1500万台に乗せている。

一方、国別では世界3番手の市場である日本も5%増の523万台と、14年以来3年ぶりにプラスに転じた。2年ぶりに500万台に乗せており、市場規模は消費税率引き上げに伴う駆け込み需要があった14年(556万台)以来の水準となった。このうち登録車は5%増の339万と2年連続のプラス、14年度の増税で苦戦していた軽自動車は7%増の184万台となって3年ぶりに浮上した。

日産は過去最高の中国で初の3位に躍進

企業別の販売実績では、16年に初めて首位に立ったVWが前年比4%増の1074万台と最高記録を更新し、トップの座を維持した。最多のシェアをもつ中国で、418万台(5%増)を販売し、トップへの原動力とした。2位に浮上したルノー・日産連合は、三菱自を加えた16年に996万台だったが、17年は1000万台の大台に到達した。日産の世界販売は581万台(5%増)で8年連続の過去最高となり、中国でも12%伸ばして最高を確保。同国ではヒュンダイを抜いてVW、GMに続く初の3位に付け、連合体の躍進につなげた。

トヨタは1038万台(2%増)と、3年ぶりに過去最高になった。4年連続で1000万台の大台を維持する安定感を見せたものの、順位は2年続きで後退した。中国では6%増の129万台と過去最高の販売を達成している。GMは2位に付ける中国で404万台(3%増)と前年に続いて過去最高とした。しかし、欧州事業のオペルとボクスホールをフランスのグループPSAに売却した影響で、世界販売は5年ぶりのマイナスとなり、1000万台も割り込んだ。

米中3年連続最高のホンダは初の500万台を突破

5位のヒュンダイと6位の米フォードモーターもGM同様に前年割れとなった。ヒュンダイは韓国の防衛装備によって中韓関係が悪化したことから中国販売を大きく落とし、キア自動車を含む世界での販売実績は8%減となった。フォードは欧州が3%増と堅調だったものの、北米は2%のマイナスとなり、世界販売は1%減少した。

一方、前年と同じ7位に付けたホンダは、最大の販売先である米国と2番目の中国で、いずれも3年連続で過去最高を更新。世界販売も6年連続での最高となる530万台(7%増)と、初めて500万台を突破した。FCA(フィアットクライスラーオートモービルズ)は欧州部門で5%の伸びを確保したものの、北米部門が7%落ち込み、グローバルでは微増にとどまった。世界ランクは3年連続の8位。

また、9位のPSAは4年連続でのプラスを確保した。17年にGMの欧州事業を買収したことから、世界販売は15%増と上位10社中、最高の伸びとなった。10位の独ダイムラーは、237万台(8%増)だったメルセデスベンツ乗用車部門が7年連続の最高となって全体をけん引し、大型トラック部門などを含む総台数は初めて300万台を突破した。番外次点(11位)はスズキで、10%増の316万台とダイムラー同様、初の300万台乗せを達成している。シェア首位のインドが161万台(15%増)と好調に推移した。

《池原照雄》

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