【トライアンフ スピードトリプルRS 試乗】違いが分かる大人のロードスター…佐川健太郎

モーターサイクル 新型車
トライアンフ スピードトリプルRS
トライアンフ スピードトリプルRS 全 12 枚 拡大写真
トライアンフから『スビードトリプル』の最新モデルが登場した。シリーズ7代目となる最上級モデルの「RS」である。今回のポイントは従来モデルからスタイリングは大きく変えずに中味を大幅に進化させているところ。中でも注目はエンジンだ。

従来からの水冷並列3気筒DOHC4バルブ1050ccをベースに合計105におよぶ改良をほどこすことでポテンシャルを大幅にアップ。最高出力は従来比10psアップの150ps、最大トルクも4%アップの117Nmを実現。サイレンサーも軽量なチタン製となり、高級感とともに3気筒らしいサウンドを追求。軽勝かつ俊敏なフットワークを狙って車重も3kg減量されている。

また、「RS」独自の装備として、前後サスペンションにオーリンズ製φ43mmNIX30 倒立フォークとTTX36 リンク式モノシッョクを装備。ブレンボ製ラジアルモノブロックキャリパーも制動力を強化するとともに、ホイールも10本スポークタイプに刷新されている。

電子制御の進化にも目を見張る。ライド・バイ・ワイヤシステムは最大5種類のモードから走り方や路面状況に応じて選択可能で、新たに投入されたコーナリングABSとトラクションコントロールによって、高度なパフォーマンスをより安全に発揮することが可能となった。また、キーレスシステムによる始動とステアリングロック機構の他、クルーズコントロールやUSB電源などのユーティリティも充実。角度調整式のフルカラー5インチTFTディスプレイも搭載された。なお、スタンダード仕様の「スピードトリプルS」は今のところ日本には未入荷となっている。

今回の試乗会場はスペインのサーキットだったが、新型スピードトリプルRSはそこで最上級モデルに相応しいハイグレードな走りを見せつけてくれた。

走りの印象はスポーティさの中にしっとりとした安定感もあって、乗り始めから爽快な気分でマシンを操ることができた。馴染みの良さはそのまま素性の良さを表すものである。

どの回転数からでもなみなみと豊かなトルクが取り出せる、トライアンフ3気筒ならではのフラットな出力特性はそのままに、新型では回転フィールもさらに滑らかさを増した。パルス感を含んだ独特のトリプルサウンドに包まれながらストレートを全開で突っ走る快感。そして、スーパーコルサSPの絶大なグリップを借りてアスファルトに巨大なトルクの塊を叩きつける感触に心躍らせた。もちろん、そこには前後オーリンズの路面に吸い付くような安心感や、ライディングモードとシンクロしたコーナリングABSや高精度なトラコンなどの最新電子デバイスという保険があってこそだ。

一般道を少しだけ走れるチャンスがあったが、大画面のTFTディスプレイの美しいグラフィックは見ているだけでも楽しいし、そこに映し出される各種デバイスの操作も左手のジョイスティックで直感的に行えるのでストレスがない。ゆっくり走っていても、トリプルの官能的なサウンドと上質な走りの世界を味わえるのがRSの魅力だ。「ストリートファイター」という過激な家系に生まれたが、今や立派な紳士に育った。そういう意味では違いが分かる大人のスポーツバイクであり、英国車らしい深みのある正統派ロードスターと言えよう。


■5つ星評価
パワーソース:★★★★★
ハンドリング:★★★★
扱いやすさ:★★★★
快適性:★★★★
オススメ度:★★★★★

佐川健太郎|モーターサイクルジャーナリスト
早稲田大学教育学部卒業後、出版・販促コンサルタント会社を経て独立。編集者を経て現在はジャーナリストとして2輪専門誌やWEBメディアで活躍する傍ら、「ライディングアカデミー東京」校長を務めるなど、セーフティライディングの普及にも注力。(株)モト・マニアックス代表。バイク動画ジャーナル『MOTOCOM』編集長。日本交通心理学会員。MFJ公認インストラクター。

《佐川健太郎》

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