自動運転中の事故の責任は自動車所有者、研究会が報告書

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国土交通省は、自動運転中の車が事故を起こした際の自賠法上の責任主体などについての報告書をとりまとめ、20日公表した。

「官民ITS構想・ロードマップ2017」では、自動運転の導入初期である2020~2025年頃、自動運転車と自動運転でない自動車が混在する時期、自動車損害賠償保障法上の責任関係のあり方を検討し、2017年度中に、高度自動運転システム実現に向けた政府全体の制度整備に係る方針を策定する予定。

自動運転中の車が事故を起こした際の自賠法上の責任主体、データの誤謬、通信遮断、ハッキングなどの事象発生時の責任関係について研究会で検討し、今回報告書をまとめた。

自動運転車と手動運転車が混在する当面の「過渡期」は、迅速な被害者救済のため、現行の自賠法で定めている自動車所有者(運行供用者)に事実上の無過失責任を維持する。ただ、保険会社による自動車メーカーに対する求償権行使の実効性を確保するため、ドライブレコーダーなどの事故原因を解析できる装置の活用や自動運転中の事故原因を調査する体制整備など、仕組みを検討する。

限定地域での無人自動運転サービス(レベル4)については、車両の保有者である自動車運送事業者を運行供用者として、限定領域外では遠隔監視・操作を行う者を運転者とする。

高速道路での後続無人隊列走行トラックでは、後続車両の電子連結につき、関連法規において牽引に準じたものとして取り扱うことができ、先頭車両の保有者のみに運行支配が認められるのであれば、先頭車両の保有者である自動車運送事業者が運行供用者となる。

ハッキングにより引き起こされた事故の損害は、自動車の保有者が必要なセキュリティ対策を講じておらず保守点検義務違反が認められる場合などを除いて、盗難車と同様、政府保障事業で対応する。

自動運転システム利用中の自損事故については、現在と同様、任意保険(人身傷害保険)でのみ対応し、自賠責では損害の補てんを受けることができない。

運行供用者の注意義務の内容として、関係法令の遵守義務、自動車の運転に関する注意義務、自動車の点検整備に関する注意義務がある。今後の自動運転技術の進展に応じ、例えば、新たに自動運転システムのソフトウェアやデータをアップデートすることや、自動運転システムの要求に応じて自動車を修理することなどの注意義務を負う。

外部データの誤謬や通信遮断が発生した際も安全に運行できるべきで、安全性を確保することができていないシステムは、「構造上の欠陥又は機能の障害」があるとする。

今後は今回の検討に想定した「過渡期」を過ぎてレベル5の完全自動運転車が普及する段階に、自動車の操縦には関与せず、行き先を指示するだけの者に運行供用者責任を認めることができるのかなどを議論する。自賠法における損害賠償責任に関しては、今後の自動運転技術の進展、自動運転車の普及状況、海外における議論の状況を踏まえながらこれまでの論点整理も含め、さらなる検討が必要となる可能性もあるとしている。

《レスポンス編集部》

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