新時代の交通の実現を目指し「AI運行バス」実証実験を実施…会津若松

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実証実験車はワゴン車
実証実験車はワゴン車 全 14 枚 拡大写真

JTBと会津電力株式会社、NTTドコモの3社は、 AI運行バスを活用した「モビリティ・シェア事業」の実証実験を3月19~25日に会津若松市内で実施した。

AI運行バスは、利用者がスマートフォンのアプリケーションから、予め観光名所などに設置された各停留所の中で、乗車したい場所と降車したい場所を選択すると、市内を周回する乗合バスが配車されるシステムだ。

バスの運行ルートは、AIが車両位置と停留所の位置、乗車人数などから最適なルートを算出、経由する停留所を車両に設置されたタブレットに送信しドライバーに知らせ、情報を受け取ったドライバーは停留所に向かい、利用者を乗降を行っていく。

宿泊した温泉地の宿で専用アプリからAIバスを配車してみる。事前にインストールし、登録を済ませておいたアプリから乗降地と乗車人数を選択すると、AIが最適な運行車両とルートを算出。予約画面に大まかなバス配車時刻と目的地への配車時刻が表示される。

実証実験時では体験出来なかったが、乗車したい時間や到着したい時間を予め設定して配車する機能も実装する予定だという。

10分程するとAIによって最適と判断されたバスが宿に到着。バスと言っても大きな路線バスではなく小回りの効く大型ワゴン車だ。乗車時には、ドライバーに自身の名前を申告し、ドライバーはタブレットに送信された情報と確認して、誤乗を防ぐ。

タブレットには、決められたルートは表示されておらず、ドライバーの判断でルートを選択し、目的地のみをAIが判断しているという。決められたルートしか運行出来ない路線バスでは不可能である交通渋滞を避けたルートの選択や迂回なども可能だ。

中心部から離れた宿から市内の目的地への到着時刻はほぼ予想通りであった。今回の体験では計5回程利用したが、どの場合も5分以上到着がずれることは無かった。

この実証実験で、会津若松市内に設置されたバス停は、会津若松駅の周辺四方4kmの範囲で25か所。担当者によると「有名な観光地はもちろん、地元の人が薦める観光地なども入って」おり、鶴ヶ城や飯盛山、武家屋敷などの他にも漆器店や伝承館に停留所が割り振られていた。

実際、同乗した他県からの観光客は「AIバスの停留所であったから訪れてみようと思った」と会津漆の販売店で降車していた。さらに、土産物店の店員が「一方通行が多い会津の街での運転は、観光客にとって難しい」と語っていたように、慣れない土地での運転や降雪地などでレンタカーの利用に抵抗がある観光客や訪日外国人観光客にとって、大変便利なサービスであると感じた。

一方では、高齢化に伴う免許の返納や赤字などで廃止が増える路線バスの代替交通として地元の人の足にもなる得る新しい交通システムのあり方でもあると感じた。

商用化後の利用料金設定にもよるが、まさにタクシーとバスの“いいとこ取り”なサービスだと言えるだろう。

今回の実証実験を通して3社は「結果を踏まえ、観光客の回遊行動促進により観光活性化に寄与し、一方では生活者の移動利便性の向上に寄与する、新時代の交通の実現をめざし、本事業の提供主体を含め、商用に向けた検討を行う」としている。

《平川 亮》

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