【ジープ コンパス 試乗】いい意味でも悪い意味でも、日本車的である…諸星陽一

試乗記 輸入車
ジープ コンパス ロンジチュード
ジープ コンパス ロンジチュード 全 12 枚 拡大写真

軍用車にそのルーツを持つジープは、道なき道もものともしないヘビーデューティなポテンシャルが魅力だが、現在のジープブランドにはいくつかのモデルが存在し、用途を棲み分けしている。

そうした棲み分けのなかでももっとも都会よりなジャンルとなるのが、今回試乗した『コンパス』とそのベースとなった『レネゲート』。ともにフレームではなくモノコックのボディを採用するモデルで、レネゲードのほうがショートボディを採用している。

試乗車の「ロンジチュード」は2.4リットルの直4エンジンに6速ATを組み合わせたモデルで、駆動方式はFFとなる。日本仕様のコンパスで4WD方式となるのは最上級の「リミテッド」のみ。

4400mmの全長に1810mmの全幅、1640mmの全高はジープらしい堂々とした出で立ち。フロントの縦桟グリルもジープ直系を感じさせる力強いものだ。太めの径が与えられたステアリング、大ぶりなセレクトレバーノブなど、大柄なパーツで構成されるインパネはグローブをしたままでも乗れそうなデザインとなっている。

乗ってみると、かなり乗りやすい。輸入車というのは、日本車とはなにか漠然とした違いを感じるものだ。たとえば、アクセルの踏み具合に対する速度変化とか、ブレーキのフィールとか、ステアリング操作による横Gやロールの出方などなど……いろいろな要素が入りこんで独特な雰囲気を持つものだが、コンパスについてはコラム左にウインカーレバーがあるくらいしか違いを感じない。いい意味でも悪い意味でも、日本車的である。

乗り心地についてもクロカン4WD的な感覚はない。確かに車高も目線も高いので、遠くまで見渡せるといったことはあるが、オンロードを走っているときにサスペンションの不要な柔らかさを感じることもなければ、重いタイヤを履いたドタバタ感などはない。本格的ジープをオンロードで乗っているときに我慢しなければならない要素は排除されている。

エンジンのパワー感、トルク感も車格にあったもので、アクセル操作による余計な挙動も出ることがなくスッキリと乗ることができる。全体的にまとまり感が感じられ、直進性も高いので高速道路を走り続けるような長距離移動もそつなくこなすだろう。

ジープのスタイリングを持ちながらも肩肘張ることなく、ゆるく楽しめるクルマ、それがジープコンパスだと言える。価格は350万円と、クラスを考えれば妥当とも言えるが、日産『エクストレイル』だと同予算で4WDも選べる。アメリカ車なので使用燃料がレギュラーガソリンで、これは大歓迎だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. 【マツダ CX-60 XD SP 新型試乗】やっぱり素のディーゼルが一番…中村孝仁
  4. セリカに次ぐ「リフトバック」採用のカローラは、50年経ってもスタイリッシュ【懐かしのカーカタログ】
  5. 朝までこの恐怖に耐えられるか?…三和交通タクシーでいく心霊スポットツアー2025【夏休み】
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る