【三菱 エクリプスクロス 試乗】マジメにユーザーのことを考えてくれている…岩貞るみこ

試乗記 国産車
三菱 エクリプスクロス
三菱 エクリプスクロス 全 16 枚 拡大写真

うーわっ、なんだこれ、走りやすい!走り始めて30秒もたたないうちに、体温急上昇である。

コーナーでハンドルをきると、ぐいぐいとコーナーの先に向かう。というか、コーナリングの途中でも、安心してアクセルが踏めるのである。ええ、私、運転が下手です。コーナーを走るときは、ものすごく緊張します。そんな私ですら、上体がぶれることなく、コーナーの出口に向かってハンドルをきり続け、さらにアクセルを踏みながら、安定した状態で走れるってどういうことなんだろう=どうにもこうにも、これが技術者の汗と涙の結晶である。

SUVスタイルは、乗員がいるスペースと荷物を載せるスペースがいっしょで、つまり、四角い箱のようなもの。コーナーを曲がるときはボディがよれやすい。よれるとなぜか、中で運転している人も、上体がよれる。しかし、ミツビシの溶接技術で、よれない箱を作り上げたようだ。よれずに、前に走る力をしっかりとタイヤに伝えた分、気持ちよくコーナーを走れるというわけだ。

走りやすさを具現化しているもうひとつの立役者は、変速プログラムである。今回は、8速CVTなのだが、これが実にいい仕事をするのだ。道のアップダウンや速度の変化に応じて、ギアの選び方が超を超えるくらい適切で、ずーっと力強いトルクを感じていられる。いじわるをして、アクセルをオフにしたり、あれこれやってみるのだが、常に、一番気持ちよく走れる状態を作ってくれるのである。おみごと!

特に、潔いのは、ノーマルモードでこの気持ちよさを作り上げたこと。最近は、スポーツモードにすれば気持ちいいけれど、ノーマルにもどすとぐだぐだになるクルマが出没するなか、『エクリプスクロス』はノーマルモードできちんと気持ちよく走れ、エコを考えるならエコモードに切り替える仕様にしているのだ。

これ、なにが違うのかというと、カタログに載せる数字は、ノーマルモードで計測する。つまり、燃費を強調したいのであれば、ノーマルモードの走りをだらだらにして、スポーツモードできちんと走るようにすればいいわけだ。ところが、ミツビシは、その手段はとらなかった。燃費の数値が落ちようとも、あくまでもノーマルで快適に走れるようにしたのである。

このところは特に燃費で選ぶ人が多いので、不利なんじゃないですか?そう尋ねてみると、「ミツビシの4WDの走りに期待してくれている人が多いので、落胆させたくないんです」とのこと。落胆させたくない、という言葉が、ここ数年のミツビシをとりまく事情と重なって、なんだかぐっときたけれど、でも現場の開発者はマジメにがんばっているのである。

もうひとつ、マジメ部分を書くと、ドアを開けて乗り降りするときに、足元(ふくらはぎの裏側あたり)が泥はねで汚れないよう、ドアが下まで覆ってくれていること。ドアを大きくする=重くなる=走りに不利、ではあるものの、あえて、女性ユーザーを含め、泥や雨の日を考慮してくれたあたり、やっぱりマジメにユーザーを考えてくれているなあと、ほっとするのである。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家
イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。主にコンパクトカーを中心に取材するほか、最近は ノンフィクション作家として子供たちに命の尊さを伝える活動を行っている。レスポンスでは、アラフィー女性ユーザー視点でのインプレを執筆。9月よりコラム『岩貞るみこの人道車医』を連載。

《岩貞るみこ》

岩貞るみこ

岩貞るみこ|モータージャーナリスト/作家 イタリア在住経験があり、グローバルなユーザー視点から行政に対し積極的に発言を行っている。レスポンスでは、女性ユーザーの本音で語るインプレを執筆するほか、コラム『岩貞るみこの人道車医』を連載中。著書に「未来のクルマができるまで 世界初、水素で走る燃料電池自動車 MIRAI」「ハチ公物語」「命をつなげ!ドクターヘリ」ほか多数。2024年6月に最新刊「こちら、沖縄美ら海水族館 動物健康管理室。」を上梓(すべて講談社)。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 軽オープンスポーツカー、2代目ダイハツ『コペン』が誕生!!
  2. ランドローバーが『ベイビーディフェンダー』発売ってほんと? これが市販デザインだ!
  3. 「さすが俺達の日産技術陣!」日産の新型EVセダン『N7』にSNS反応、「カッコ良すぎないか」などデザイン評価
  4. ヤマハの125ccスクーター『NMAX 125 Tech MAX』が世界的デザイン賞、ヤマハとしては14年連続受賞
  5. ゴミ回収箱に人が入ることは予見不能
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. トヨタ「GRファクトリー」の意味…モータースポーツのクルマづくりを生産現場で実現【池田直渡の着眼大局】
  2. “走る巨大バッテリー”の実力! BEV+家電は悪天候でも快適に遊べる組み合わせだった
  3. BYDが「軽EV」の日本導入を正式発表、2026年後半に
  4. EVシフトの大減速、COP消滅の危機…2024年を振り返りこの先を考える 【池田直渡の着眼大局】
  5. 住友ゴム、タイヤ製造に水素活用…年間1000トンのCO2削減へ
ランキングをもっと見る