【ボルボ XC40 試乗】日本人好みの使い勝手に“ガイシャ”らしい乗り味、これは売れる…諸星陽一

試乗記 輸入車
ボルボ XC40
ボルボ XC40 全 25 枚 拡大写真
ボルボの勢いが止まらない。90シリーズ、60シリーズでSPAと呼ばれる新型シャシーの実力を披露したボルボだが、そのままの勢いでコンパクトクラスに乗り込んできた。

ボルボにはコンパクトモデルのイメージがあまりない。それはミドルクラスに力を入れてきたことが大きな原因で、歴代モデルを見てもコンパクトモデルが存在しない年代もある。企業規模もさほど大きくなく、販売台数も60万台に届かない。フォルクスワーゲンは1074万台なので、その規模の違いは明らかだ。

そんなボルボがミドルクラスの90、60シリーズの開発が一段落したこともあり、コンパクトの40シリーズの第一弾、『XC40』を登場させた。このXC40、ただ者ではない実力を秘めていた。

試乗したのはシリーズで最上位となる「T5 AWD Rデザイン」。しかもファーストエディションという特別仕様車でじつはすでに完売となってしまったモデル。T5 AWDは2リットル4気筒ターボを積むモデルで最高出力は252馬力、最大トルクは350Nmというスペック。1.5トンを超えるボディに対してパワートレインのポテンシャルは十分で、箱根のワインディングでも十分なパワフルさを示してくれる。エンジンの吹け上がり感も良好。ただし、1500回転くらいからググッとトルクアップするターボらしい特性もある。

ハンドリングはこのクラスとしては最良といっていいほどの出来。背が高いSUVでありながらロールはしっかりと抑えられ、軽快にコーナークリアできる。先日試乗した三菱の『エクリプスクロス』もそうだったが、今後のミドルクラスSUVは軽快なハンドリングがキーワードになるのは間違いない。

さらにまるで日本の軽自動車のようなきめ細かくポケッテリアが設定され、使い勝手が格別にいい。ポケッテリアを紹介するイメージビデオでは、机のまわりに置かれたさまざまなものに手が届くようにポケッテリアを用意した様が紹介されている。なにしろカップホルダーはもとより、携帯電話の充電スペース(非接触も可能)も設定。ドアからはスピーカーを廃しノートPCが収納可能なドアポケットを実現。さらにティッシュボックスを置くスペースまで作った。ラゲッジルームのアレンジも豊富で、トノカバーをフロア下に収められるようにしたり、フロアボードを持ち上げた状態で手提げ袋を掛けられるようにしたりしている。


安全装備や運転支援装置については、現時点で考えられる最上位のものがついている。自動ブレーキはクルマや自転車に対しては50km/hまで、歩行者も45km/hまで回避可能。車線逸脱支援にはステアリング制御に加えてブレーキ制御も加わった。

かなり実用性に振ったモデルであることは確か。実用性に振るということは、プレミアム感を減らすということにつながるので、ボルボというブランドしてはかなり思い切ったクルマ作りを行ったことになるのだろう。こうした実用性を重視したガイシャらしいガイシャは珍しく、かなり高い人気となるだろう。

ただ価格はプレミアムなままで、T5 Rデザイン ファーストエディションの場合は559万円。『エクストレイル』の最上級が327万7800円。その差200万円以上。もっともリーズナブルな190馬力のエンジンを積むFFのT4でも価格は389万円。この価格をどう見るかで魅力度は大きく変わる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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