北海道最古の動態蒸気機関車がボイラー修理に旅立ち…小樽市総合博物館の『アイアンホース号』

鉄道 行政
札幌交通機械へ陸送中の「アイアンホース号」。
札幌交通機械へ陸送中の「アイアンホース号」。 全 3 枚 拡大写真

昨年10月、ボイラーの故障により急遽運行を取り止めた小樽市総合博物館本館(北海道小樽市)の動態運転用蒸気機関車『アイアンホース号』が4月23日、修理のため搬出された。

『アイアンホース号』は、1909年に米国ポーター社で製造されたテンダー式蒸気機関車。北海道内では、三笠市の三笠鉄道村や遠軽(えんがる)町のいこいの森でも蒸気機関車の動態運行が行なわれているが、『アイアンホース号』は国産ではないものの、その中で道内最古の蒸気機関車だ。

昨年10月、ボイラーの「火室(かしつ)」と言われる部分に水漏れが発生し、調査したところ、「溶け栓」と呼ばれる、バルブ状のパーツを固定しているネジ穴が金属疲労を起こしていることが判明した。

「溶け栓」はボイラーと火室の間にある「火室天板」と言われる部分に取り付けられており、溶け落ちることで空焚きを知らせる「安全装置」の役割を果たしているが、金属疲労を起こしたネジ穴が放置されると正常に作用しなくなることから、修繕は急務となっていた。

修繕費用の問題などから、これまでの重油燃焼による蒸気方式とするのか、圧縮空気など他の方式とするのか、さまざまな意見が出されたが、小樽市総合博物館では「本物の蒸気機関車を見せる」という本来の意図に沿って、蒸気方式を決定。ボイラーのみ、蒸気機関車のボイラー修繕を手がける国内屈指の会社である、大阪市北区の『サッパボイラ』へ発送することになった。

4月23日は、9時30分頃から『アイアンホース号』を機関庫から搬出し、クレーン車を使って陸送に備えた作業が行なわれ、12時頃、博物館を出発。一旦、札幌市東区の札幌交通機械に搬入され、ボイラーと足回りを分離。その後、ボイラーのみが陸送とフェリーで大阪へ発送されることになっている。運行再開は7月下旬を予定しているという。

修繕費用は当初、1000万円程度と見積もられていたが、最終的には1400万円程度になった模様で、800万円程度を「小樽ファンが支えるふるさとまちづくり基金」の「総合博物館展示車両の修復」などで確保。残りの600万円をインターネット募金(クラウドファンディング)で調達することになった。

このクラウドファンディングは、ふるさと納税制度を活用するため、「ふるさとチョイス」で実施している。募集期間は4月23日から7月21日まで。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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