日本最大規模、西鉄天神高速バスターミナルを見る…ITSフォーラム2018福岡

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西鉄天神高速バスターミナル
西鉄天神高速バスターミナル 全 15 枚 拡大写真

「アジア太平洋ITSフォーラム2018福岡」のメインパートナーともなった西日本鉄道(西鉄)。テクニカル・ヴィジットと称したツアーを通して、西鉄天神高速バスターミナルの概要をはじめ、福岡周辺で西鉄バスが果たしている役割について説明を受けた。

乗車案内をデジタルサイネージ化によって他言語に対応

西鉄天神高速バスターミナルは、高速バスおよびそれに類する特急便・急行便などの中長距離路線のバスが発着するターミナルとして1997年2月、現在のソラリアターミナルビル3階に開業。それから開業18年を迎えた2015年3月、リニューアルオープンした。

現在の乗り入れ路線は、東京・新宿など本州行きが6路線、九州各地へ行く路線が21路線の計27路線。発着本数は1400便/日、乗降者数は約2万人で、規模としては日本最大と言われている東京・新宿南口交通ターミナル「バスタ新宿」に匹敵する規模を誇るという。

2015年リニューアルでの大きな変更点は、案内をデジタルサイネージ化して対応したことにある。乗り場は1番から6番まであり、そのすべてに時刻表や乗降に伴うお知らせを大型ディスプレイで表示。乗客はこの表示によって行き先を識別できるようになっている。表示は日本語、英語、韓国語、中国語の4カ国語対応で、場内アナウンスも同様の対応を行っているという。また、ターミナルは貸切バスの発着場としても活用している。

新宿行き高速バスの乗車率は平均7~8割!

ターミナル全体は細長い造りとなっており、そのためバスの発着場を見通すことができない。待機場所には最大16台が入れるが、運転手は各ターミナル入口に設けられたディスプレイによって指定のバス停に進んで行けるかどうかを判断できる仕組みとなっている。さらにバス停に入ると運転手はバス停に設けられた専用の端末で自分の行き先にタッチ。これによって、乗客への乗車案内が4カ国語で自動的に案内されるようになる。出発時も同じように端末へタッチすると、乗客へ出発の案内が行われる仕組みだ。

乗車券の券売機は、座席指定を含めた事前予約が必要なものと、予約なしで買えるものの2種類で対応。電子マネーは、福岡市近郊~熊本市行きの予約なしで乗車できるバスにのみ利用可能だが、券売機では現金とクレジットカードのみが使える。また、対応言語は基本4カ国に台湾を含めた5カ国語。ワンボタンで表示を切り替えられるようになっている。予約は乗車直前まで利用できるという。

ちなみに東京・新宿行きの「はかた号」は1往復/日で、個室型シートのプレミアムシートと、3列独立のビジネスシートの2タイプを用意。プレミアムシートは1万7000~2万円、ビジネスシートは1万2000~1万5000円。所要時間は東京行きで14時間15分を予定する。シートはかなりゆったりとした造りで、乗客にも好評を得ているという。そのためか、乗車率は平均7~8割程度はある(西鉄バス)とのことで、LCCによる航空運賃の低価格化が進む中でかなり健闘しているようだ。

西鉄バスは2800台を運行する日本最大のバス会社

西鉄バスおよびグループ会社全体が運行するバスは約2800台ともなり、年間輸送人員は2億6000万人、年間総走行距離は約1億5000万km。これらは日本一のバス会社となるそうだ。裏返せば、福岡都市圏は他の政令指定都市圏に比べ規模の割に鉄道インフラが脆弱であることの証しでもあるのだが、いずれにしても福岡県民にとっていかに西鉄バスが生活に密着しているかも推察できるだろう。

西鉄バスによると、運行上の課題としてあるのが「バスが自ら“バス渋滞”を生んでしまっている現状」だという。西鉄バスは一部の料金均一区間を除き、大半が後乗りして前方で料金精算をして下車する。そのため、下車する乗客が多いとその精算に時間を要してしまい、これが“バス渋滞”の原因となっているのだ。解決策として均一区間をもっと増やす構想もあるが、運行区間やダイヤなどの絡みもあって実現は難しい。

そこで2016年9月より2両のバスをつなげた「連節バス」の試験運行を開始した。西鉄ではこれを「都心循環BRT(バス高速輸送システム)」として、料金を190円均一にすると共に、停車する場所を少なくすることで従来のバスよりも速く、より多くの乗客を運ぶ交通システムにしたい考え。しかし、このBRT、現状では専用レーンが無いことから交通渋滞から逃れることは難しい。今後はこうした課題の解決も必要だろう。

《会田肇》

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