ドイツの部品大手ボッシュは「人とくるまのテクノロジー展2018 横浜」に出展し、世界初公開となる車載カメラモジュール、スマートフォンを利用するスマートーキーシステム、高精度な自車位置測位システムなどを展示した。
■車載ステレオカメラモジュール
2019年に量産を開始する予定の試作品で、同社の車載カメラモジュールとしては”第三世代”にあたる。
画像解像度は従来の1.3メガピクセルから2メガピクセルに向上、水平視野角も100度に拡大した。また、物体の高さを検知することができる。検知可能範囲は75mとのことだ。
今回から深層学習の技術を利用したニューラルネットワークを内蔵しており、「自動運転向けに、フリースペース(走行可能な領域)を検知することができる。単に車線だけでなく、様々な状況を判断できることが特徴だ」と担当者は説明する。
あわせて単眼カメラモジュールも展示されており、量産開始はステレオカメラモジュールよりも遅れるものの、「カメラモジュール単体で、緊急ブレーキとACC(アクティブクルーズコントロール)を実現する計画がある」(担当者)という。通常は単眼カメラにミリ波レーダーを組み合わせてADAS機能を実現するものが定番だが、これをミリ波レーダーなしで実現する計画だ。
モービルアイ社もミリ波レーダー無しでADAS機能を実現しており、それに対抗するための計画かを問うたところ、担当者は「そういった面もあるが、当社はあくまでシステムサプライヤーなので、カメラモジュールに限らずシステム全体で自動車メーカーの要件に応えることを考えている」と応えた。
■スマートキーシステム
Bluetoothを使ったスマートキーシステムの試作品が展示されていた。スマートフォンでアンロックやエンジン始動ができるものだ。「NFCのようにデバイスを近接しなくても使えるのがメリット」(担当者)とのこと。
車両に近づくと、スマートフォンを検知し、自動的にアンロックする機能も想定している。現時点ではBLE4.2で実装しているが、「独自プロファイルを追加するようにBluetooth側と交渉中」(担当者)とし、安定動作を目指す。
スマートフォンのバッテリーが切れるとBluetoothが使えなくなるため、NFCによるアンロックも可能。量産は「2020年から21年」を目指す。
■自車位置測位システム
測位精度50cmを謳う「VMPS」(ビークルモーションアンドポジションセンサー)を展示した。これは、GNSSの測位衛星のデータと、車両の3軸の慣性データを組み合わせて、自動運転に向けて50cm単位の高い測位精度を提供するものだ。量産開始は2020年を予定している。
「人とくるまのテクノロジー展2018 横浜」は神奈川県横浜市のパシフィコ横浜 展示ホールにおいて5月25日まで開催されている。国内外の自動車部品メーカーが一堂に会し、最先端技術と製品をアピールするショーケースだ。