タイヤ空気圧の違いで走りはどう変わる? 中距離試乗で試す

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ダンロップ エナセーブ EC204
ダンロップ エナセーブ EC204 全 11 枚 拡大写真

タイヤの性能はどんどんと良くなっていて、最近はグリップ性能も省燃費性能もびっくりするくらい高くなった。それだけでなく、空気の抜けにくさというのも、知らず知らずのうちに(メーカーでは一生懸命取り組んでいるのだが)向上している。

しかしその結果、タイヤの空気圧があまり減らないので見なくても大丈夫…などと、あまりチェックされない傾向もある。セルフサービスのガソリンスタンドが多くなったのもチェックがされなくなった理由の一つかもしれない。けれども減らないタイヤの空気はない。1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月…使い方によって期間はまちまちだろうが、タイヤの空気圧は確実に減っていく。

燃費を重視した空気圧設定は?

そこで今回は「空気圧が適正でないとどうなるか」をテーマに試してみることにした。タイヤサイズは純正と同じ195/55R16。まずは今回の車両の適正空気圧である前250kPa/後220kPaにして走ってみた

試乗してみると、乗り心地に張りがあって、歯切れのいい乗り味。走り出しは軽く、アクセルオフにした時ほとんど車速が落ちず、低燃費タイヤらしくすーっとタイヤが転がっていくかのような滑走感がある。ハンドルを切り出した時の反応がよく、キビキビとクルマが動いてくれる。

もう少ししっとりした乗り味でもいいのではないかと思って、改めて空気圧表示を調べてみると、これは特殊な例なのだが、空気圧の設定が2つあった。ドイツ車にはよくフル乗車して荷物満載した時の空気圧が、指定空気圧と一緒に表示されているが、今回使用した車両にはそれとは別にもう1つ設定されていた。指定空気圧より低い空気圧設定で前220kPa/ 後200kPaとの表示がある。調べてみると、こちらはより快適に乗りたいときの空気圧設定なのだそう。オススメの空気圧は燃費がよく、操縦性も良い250kPa/220kPaだが、乗り心地を重視したい人には220kPa/200kPaで乗ってもいいですよということらしい。タイヤの性能的には低い設定でも問題ないということなのだろう。

空気圧を低い方の設定に落として走らせてみると、ハンドルを切った時のキビキビした反応が穏やかになって、スイスイっとしっとり曲がる感じになった。乗り心地も張りのあるコツコツした感触から、しんなりと変化。その分少しだけクルマが重くなった感覚がある。これが走る場所によっては燃費に効いてくるということなのだろう。

低すぎる空気圧は操安性に影響し危険

さらに空気圧を下げたらどうなるだろう。前200kPa/後180kPaで試してみた。

結果から言ってしまうと、今回に限って言えば燃費はさほど悪くはならなかった。ただ、ハンドルの据え切りが重くなっており、明らかにタイヤの接地面のつぶれが大きくなっているのがわかる。

走ってみても、ハンドルを切り出した時の反応が鈍くなって狙ったとおりにしっかり曲がるという感覚から少し外れている感覚がある。もっとも顕著に表れたのは、とっさにハンドルをグイッと切り込んだ時のクルマの応答。タイヤがグニャッと潰れるだけでクルマが向きを変えてくれない感覚なのだ。じつは1拍置いてからグイッと曲がり出すのだが、障害物をとっさに避けたいとハンドルを切った時の反応が明らかに遅れてしまうのだ。

空気圧は減りにくくなっているけれど必ず減っていく。少しずつの変化なので、いつも乗っているドライバーは、わかりにくいもの。だからといって空気圧チェックを怠ると、いざタイヤに頼って危険回避するという場面でタイヤが本体持っている性能を引き出せないということが起こりうるのだ。

さらに空気圧が減ってしまうと、タイヤが大きくヨレてタイヤがホイ-ルから外れてしまうなんてことも起こりうる。また、タイヤの外側だけが摩耗してしまう偏摩耗も起こりやすくなり、タイヤの寿命を縮めてしまうのだ。

燃費についても、空気圧が低くなればタイヤのたわみ=つぶれが大きくなり、転がり抵抗は明らかに大きくなる。つまり燃費も間違いなく悪くなるということ。
空気圧チェックは、タイヤの磨耗具合や、傷み、傷、パンクなどのチェックのつもりで、減っていないだろう…と思っても、1か月に1回はやってほしい。

◆気になる空気圧のチェック方法

では、どんな具合に空気圧をチェックしたらいいのか。まずは場所だが、タイヤショップやガソリンスタンドなどがいい。もちろんクルマを購入した自動車ディーラーでも問題なし。セルフのガソリンスタンドでも空気入れは用意しているので、わからなければ、まずは聞いてみるのが一番だ。親切に教えてくれるし、空気圧チェックまでしてくれることも少なくない。また、ダンロップでは、ガソリンスタンドなどと協力して空気圧点検の呼びかけをする活動をしている。

自分で空気圧チェックする場合、最初にすることは自分のクルマの空気圧を調べること。これは運転席のドアの裏やボディ側に貼ってあることが多い。ない場合はフューエルリッド(給油口のフタ)に貼っていないか確認してほしい。

指定空気圧が判ったら、いよいよ空気圧チェック。最近では写真のような丸いタンク型のものが多い。1.タイヤのバルブキャップを開け、2.エアチャックという充填ノズルを空気が漏れないように強くバルブ穴に差し込み、3.ゲージに表示されている空気圧をチェック。必要があれば空気を充填したり抜いたりする。スタンド型で、あらかじめダイヤルで空気圧を設定しておき、エアチャックをバルブに押し込むと空気が指定空気圧に達するまで自動的に充填してくれるものもある。

計るときは、タイヤが冷えた状態が望ましい。タイヤは走ると中の空気が温まって膨張し、内圧が上がってしまうからだ。走り方によって空気の温まり方は違うので、内圧も異なる。タイヤメーカーでも冷えた状態で計るのを基本としている。

最後に今回テストに使用したダンロップ「エナセーブ EC204」について紹介しておこう。このタイヤはダンロップのスタンダートタイヤという位置づけで、低燃費で長持ちを特徴とした、比較的購入しやすい価格のタイヤだ。

ダンロップの調査によると、2016年9月~2017年5月までに交換されたタイヤ3367本のうち、51%は偏摩耗が起こっていたという。偏摩耗が起こるのは、カーブでタイヤの外側に荷重がかかり摩耗が進んでしまうから。ダンロップではこれを受け、EC204に左右非対称トレッドデザインを採用している。タイヤ外側の剛性を高めることで偏摩耗を抑制するデザインとなっており、タイヤを無駄なく長持ちさせることを狙いとしている。また、接地形状を四角ではなく丸くし、同時に接地面圧を分散して均一にするなど、タイヤプロファイル(≒断面形状設計)の見直しも行ってタイヤの基本性能を高めた。

さらにEC204はJATMA(日本タイヤ協会)のタイヤグレーディングで転がり抵抗AA/ウエットグリップCを獲得した優秀な省燃費タイヤでもある。せっかくの性能を引き出すためにも空気圧を気にしながら適正な数値で走ってほしい。

ダンロップの空気圧シミュレーションサイトはこちら

<協力:タイヤセレクト世田谷用賀>

《斎藤聡》

斎藤聡

特に自動車の運転に関する技術、操縦性に関する分析を得意とする。平たくいうと、クルマを運転することの面白さ、楽しさを多くの人に伝え、共有したいと考えている。そうした視点に立った試乗インプレッション等を雑誌及びWEB媒体に寄稿。クルマと路面との接点であるタイヤにも興味をもっており、タイヤに関する試乗レポートも得意。また、安全運転の啓蒙や普及の重要性を痛感し、各種セーフティドライビングスクールのインストラクターも行っている。

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