東洋ゴム、タイヤ空洞共鳴音を低減する独自デバイスを開発

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東洋ゴムは6月29日、タイヤノイズに関する課題を解決する新技術「トーヨーサイレントテクノロジー」に基づき、タイヤ空洞共鳴音を効果的に低減するデバイスを新たに開発したと発表した。

自動車走行時、内部に充填されている空気が振動して発生するノイズは、タイヤ空洞共鳴音と呼ばれ、車内騒音の一つとされている。例えば、高速道路を走行中、道路の継ぎ目を通り過ぎるときに「パカーン」という音が聞こえるが、これは転動するタイヤに対して道路表面の凹凸が入力され、タイヤの中の空気が振動する現象によって発生している。

東洋ゴムは、ノイズ発生の原因となるタイヤ内部の空気が、実際の車両走行時にどのような状態にあるかをシミュレーションによって可視化。充填された空気自体がタイヤ内部で「周方向への流れ」と「垂直方向への流れ」を発していることが判明した。タイヤ空洞共鳴音低減には、吸音効果のある素材を内部に装着するというアイデアがすでにあるが、同社は「空気の流れを活用して」ノイズの低減を図るという独自アプローチに取り組んだ。

音は、穴を通過すると、壁面で摩擦が生じ、通過後に渦が発生するため、低減するという性質を持つ。同社は、音が穴を通過する際に空気の流れを活用することで音の低減効果が高まることから、可視化によって判明した空気の流れの向き(空気の通り道)に多孔フィルムを配置し、「発生する音が穴を通る構造」を検討。東洋ゴムは、周方向、垂直方向の双方の流れに対応するために、多孔フィルムを「山なり形状」のデバイスとして装着することを考案した。また、山なり形状を保持するために、円筒状スポンジを周上に16基配置。円筒状スポンジの中空構造も音の減衰に効果があり、多孔フィルムとの相乗効果によって、さらなるノイズの低減効果を得ることができた。

東洋ゴムはノイズ低減デバイスの搭載効果を確認するため、タイヤ空洞共鳴音と同じ200Hzから250Hzという低周波数帯域をターゲットに、同社製タイヤをサンプルに実車試験を実施。車内の騒音レベルを計測した結果、デバイス搭載タイヤで走行した乗用車のタイヤ空洞共鳴音は、非搭載の現行タイヤでの走行時に比べ、最大でマイナス12dBという顕著な低減効果を得た。同社では、この結果をもとに今後、デバイス搭載タイヤの製品化と市場展開を検討していく予定だ。

《纐纈敏也@DAYS》

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