変革の時代、「つなげる」ことで自動車業界を支援…カーフロンティア 小出徹社長【インタビュー】

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カーフロンティア代表取締役社長 小出徹氏
カーフロンティア代表取締役社長 小出徹氏 全 7 枚 拡大写真

変革に揺れる自動車業界だが、ガソリンスタンドや整備工場もその例外ではない。ガソリンの需要は年2~3%の割合で縮小しているといわれているが、「つなげる」をキーワードにこれからのガソリンスタンド・整備工場のビジネスを提案する企業がある。

カーフロンティアは、ガソリンスタンドや整備工場など事業者向けに、メンテナンス用品など油外商品調達サイト「AnotherRoot」(アナザールート)を事業展開している。そのほか、タイヤ購入・交換予約サイト「TIREHOOD」(タイヤフッド)、カーリース「cararia」(カラリア)、修理・メンテナンス予約「Timy」(タイミー)などを手掛けている。Webサービスによって、ネットとリアル(店舗)をつなげる事業が柱だ。


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カーフロンティアは、どのようなビジョンで業界を変えていくのか。代表取締役社長の小出徹氏に聞いた。

社会貢献意識を持って、B2B2Cサービス事業を展開

----:カーフロンティアにとって「つなげる」というのは、具体的に何と何をつなげるのでしょうか。

小出 代表取締役社長(以下敬称略):一言でいえば、Webやアプリを使って、消費者とガソリンスタンドや整備工場をつなげることになります。オンラインの機能によって、これらの事業者に新しい集客の導線、チャネルを提供しています。

カーフロンティアは三菱エネルギーのグループ企業。三菱エネルギーは、商社として石油製品を販売しています。ガソリンスタンドにはガソリン、整備工場にはオイル製品といった具合です。カーフロンティアは、その中で主に油外製品の新しいビジネスをガソリンスタンドや整備工場を提供すべく、予約サービス、マッチングサービスを提供しています。

----:いわゆるB2B2Cと呼ばれるサービス事業ですね。ガソリンスタンドと消費者をITでつなげるという発想はどうして生まれたのでしょうか。

小出:クルマは製品を売って終わり、買って終わりではありません。メンテナンスや法定点検などが必要です。これは、クルマが進化しても変わらない部分です。修理、整備、洗車、タイヤ交換すべてがサービス対象として成立しますし、ニーズがあります。

その一方で消費スタイルの変化、消費者の意識変化が別のところで起きています。以前は、メーカーや供給側からの一方的な流れでビジネスが成立していましたが、いまは消費者からメーカーへという流れが大きくなっています。

ガソリンスタンドにしても整備工場にしても街のショップとして地域に根差した事業を展開してきましたが、消費者の消費行動の変化に対応できない店舗がでてきています。ECやオンライン予約は、そのギャップを埋めるものだと思っています。

----:石油小売業界の状況は耳にしますが、石油そのものはエネルギー源として需要は変わらないように思います。石油・エネルギーの商社としても変化があるのでしょうか。

小出:確かに石油は、昔言われていたほど急激に枯渇するようなことはありません。しかし、石油製品の種類によって需要は変わります。事実、ガソリンの需要は減り続けています。また、石油メーカーも再編が進み、私が業界に入ったときは13社くらいあったものが、現在は数社になりました。メーカーが多かったころは、間の商社が需給調整やリスク分散の役目をはたしていましたが、3社、4社という状況では商社経由で仕入れることの意味や機能が変わってきています。

石油製品と油外製品のビジネスの比率では、当然石油製品が圧倒的ですが、油外ビジネスも着実に増えています。

----:現在、カーフロンティアのサービスを利用している店舗はどれくらいあるのでしょうか。

小出:用品のECサイトを利用している店舗数は4000を超えました。TIREHOODで交換予約ができる店舗は2200です。人海戦術ですが、着実に増えています。

----:給油、点検整備、タイヤ交換、洗車などもネットで調べて店を選ぶ、探すというスタイルは定着しつつあるということですね。

小出:はい。カーフロンティアが目指すのは、次世代SS(サービスステーション)、多機能SSと言われているような幅広いニーズを満たす消費者へのサービス提供を、ガソリンスタンドや整備工場を通じて支援することです。

ハイブリッドカーやEVによって、パワートレインの変化や低燃費化など、業界は大きな変化に晒されていますが、クルマが走るという機能は変わっていません。そこには従来からのニーズと新しいニーズがあり続けると思っています。それをうまく拾って、集めて、よりよいサービスを開発・提供していきたいと考えています。

例えば、三菱商事にはローソンの事業部があります。ガソリンスタンドとローソンを組み合わせた店舗も存在します。事業転換を考えているところへは、さまざまな提案をできるようにしたいと思います。

----:事業転換について、現場のガソリンスタンドなどの反応はいかがでしょうか? 意識の変化は感じていますか?

小出:非常に重要なポイントだと思います。予約サービスではレビュー機能を活用して、利用者の声を集めています。もちろん、予約システムなどの改善に参考になる情報ですが、利用した店舗の評価も得られます。評価の良ければリピーターの獲得にもなるし、集客効果も期待できます。

現場はそのような反応が励みになります。また、ネットからくるお客様は、決して値段で選ぶだけではありません。しっかり対応すると、レビュー評価だけでなく、頻繁に来店してくれるなどよいお得意様になってくれるといった、実際の店舗からの声も聴きます。

三菱商事グループは、社会貢献意識を強く持っています。ガソリンスタンドは社会のインフラでもあります。地元の事業を支援し、利用者の利便性を向上させることは、社会貢献の一部だと思ってカーフロンティアの事業に取り組んでいます。


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<小出 徹氏 プロフィール>
1957年12月27日生まれ、東京大学経済学部卒。1981年4月に三菱商事に入社。PETRO-DIAMONDで各国の事業所に勤務したのち、2015年三菱商事エネルギー 代表取締役副社長に就任。2018年5月からはカーフロンティア 代表取締役社長に就く(兼任)。

《中尾真二》

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