中島飛行機からSUBARUまで、その100年の歴史をたどる---1000部限定

モータースポーツ/エンタメ 出版物
『スバル』(三樹書房)
『スバル』(三樹書房) 全 1 枚 拡大写真

『スバル』
「独創の技術」で世界に展開した100年
著者:自動車史料保存委員会 当摩節夫
発行:三樹書房
定価:4320円(消費税込)
2018年7月20日刊行
ISBN987-4-89522-691-2

SUBARU(スバル)は、2017年に創業100周年を迎えた。そのルーツは1917年に設立された飛行機研究所、のちの中島飛行機である。本書は中島飛行機の誕生から終焉まで、そして、富士重工業誕生までのショートストーリーと、スバル『360』から最新モデルまでの変遷をカタログでたどったものである。

中島飛行機の創業者中島知久平は1884年、農家の長男として群馬県に生まれた。日清戦争に刺激された中島は、軍人になろうと決意。海軍機関学校を卒業後機関少尉に任官。早くから航空機の可能性に着目していた。1912年6月に海軍は海軍航空技術研究委員会を発足させ、中島知久平ともう一人をアメリカのカーチス飛行機会社に派遣し、機体を購入している。

しかし、日本ではそのころ航空機が軍事用として認められておらず、戦艦を中心とした軍備であり、航空機の調達は海外に頼る状況だった。航空機の軍事利用に着目、各方面に説いていた中島だが、その要望は認められず、自ら、つまり民間での飛行機の開発・生産をする決意を固める。それが中島飛行機のスタートだった。

第二次世界大戦後、閣議決定による戦後処理命令を受け、中島飛行機は富士産業に改称。のちの財閥解体で、全役員の変更と、第二会社15社の設立となり、民需転換はゼロからのスタートとなった。そこではこれまでの技術を生かし車両や産業機械の修理を行う一方、各工場ではラビットスクーターやバスボディの製造などが始まり、今につながる製品が芽生えつつあった。

本書ではこういった史実をつまびらかに開陳するとともに、当時の時代背景等も考察しながら中島飛行機、富士産業、富士重工への変遷、そしてスバル最初の乗用車、『P1』がどのように計画されたかなども語られる。

後半では当時の貴重なカタログを掲載。360や『450』、『サンバー』をはじめ、さらにはまた、STIが関係したモデルに関しては全て網羅しているという。

巻末には生産台数表など、資料も豊富に掲載されていることも魅力だ。

なお本書は、2015年に刊行した同書を増補して内容をさらに充実した新訂版で、初版配本1000部限定である。

《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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