【VW up!GTI 試乗】やっと出た、“ちゃんとした”アップ…諸星陽一

試乗記 輸入車
VW up!GTI
VW up!GTI 全 12 枚 拡大写真

『up!』はフォルクスワーゲンのラインアップのなかでもっとも小さなモデル。日本では2012年から販売されている。そのアップにスポーティモデルの「GTI」が登場した。

今回、登場した『up!GTI』はまずは限定車として投入された。搭載される1リットル3気筒ターボエンジンはチューンアップされたもので、116馬力/200Nmのスペックを持つ。リッター100馬力オーバーのエンジンはかなりのスポーティエンジンと考えて間違いない。そこに組み合わされるミッションはコンベンショナルな5MT。このミッションがup!自体の魅力を一気に引き上げた。

筆者はレスポンスで標準のup!を2回レポートしている。その2回でいずれも触れているのが、標準のアップの「AGS」と言われるロボATの質の低さ。シフトスピードが遅く、ギクシャクした走りになってしまうのだ。ところがこのGTIはMTなのでそのギクシャク感がない。up!というクルマのよさを台無しにしていたAGSが、MTとなったことでup!の良さが前面に出ている。コンパクトなフォルクスワーゲンが欲しいと思っていた人にとって、これは朗報だ。

GTIの走りは非常に気持ちいい。道路幅が狭い日本のワインディングでもボディサイズを気にすることなく、ドライビングが楽しめる。小さいことは大きな性能なのだ。ヒュッと軽々上がるエンジン回転に付いてくるグッとした力強いトルク感はコンパクトカーとの相性がいい。

AGSでのドライビングが楽しくないのは、運転のリズムを狂わされるからにほかならないのだが、GTIのMTを操りながらのドライビングはリズミカルなものだ。コーナーに向かってブレーキを掛けながら、アクセルペダルをあおってシフトダウンし、ステアリングを切り込んでいくという一連の動作を軽快に行える。こうしたリズムはもちろんだが、真っ直ぐな道を走っているときの振動にすらリズムを感じることができる。

up!GTIは、このクルマに乗ったいた時代がある、ということを人生の1ページに刻んでおく意味のあるクルマの1台だ。

■5つ星評価
パッケージング:★★★
インテリア/居住性:★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 狭い道! 制限1.9mだが何かがおかしい…東京都小金井市
  2. ポルシェ、新型『911カップ』発表…520馬力にパワーアップ
  3. かつてのマーチ、新型日産『マイクラ』英国発売に、SNSでは「英国は小型車の価値を知ってる」「日本でも売りゃいい」の声
  4. トヨタ『ハリアー』6年ぶりのフルモデルチェンジへ…注目ニュースベスト5 2025年上期
  5. 4億円オーバーのV12エンジン搭載「完全アナログ」なハイパーカー登場!
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る