伊藤忠商事は、中国の電気自動車(EV)メーカーと、EVレンタル・メンテナンスサービス会社にそれぞれ資本参加して中国で次世代モビリティビジネスを本格化すると発表した。
中国の新興EVメーカーである智車優行科技(上海)から第三者割当増資を引き受け出資参画した。奇点汽車は、ITベンチャー創業経験を持つ沈海寅氏が2014年に設立した新興系EVメーカーで、中国で最も需要の大きいSUVセグメントのEV車両を開発し、2018年末の市場導入を目指している。単なるEV車両販売ビジネスではなく、車両を顧客接点デバイスと位置付け、車両を通じたユーザーデータの取得・分析やユーザーへの情報発信を生かした様々なデータ活用サービスビジネスを志向している。
伊藤忠はこれまで培ってきた自動車販売ビジネスのノウハウを生かして奇点汽車を支援するともに、奇点汽車のデータ活用サービスや、EVアフターサービスのノウハウを取り入れ、既存のディストリビューター・ディーラー事業をプラットフォームとした次世代モビリティビジネスを構築する。
また、伊藤忠は中国でEV商用車のレンタル・メンテナンスサービスを手がける地上鉄租車の発行する第三者割当増資を引き受け出資した。
地上鉄のEV商用車の管理台数は1万5000台と世界最大規模。EV商用車のレンタルに加え、車両運行管理と充電インフラ整備も手がけており、EV商用車を使った物流オペレーションのノウハウを蓄積している。
伊藤忠はこれまで培ってきた商用車ビジネスのノウハウ、中国での物流事業とのシナジーや日系顧客とのネットワークを活かし、地上鉄とEV商用車レンタルの拡販を推進する。また、物流コストの低減・経営効率の向上など、EV物流に関する各種ソリューションを提案・提供していくほか、EVバッテリーの二次利用やリサイクル、分散型エネルギーへのEV活用といった次世代電力バリューチェーンとのシナジーも追求する。将来的には、EV商用車レンタル・メンテナンスサービスの海外展開も視野に入れる。