【ダイハツ ミラトコット 試乗】「抜く」ところと引き締めるべきところ…諸星陽一

試乗記 国産車
ダイハツ ミラトコット
ダイハツ ミラトコット 全 12 枚 拡大写真

女性のためのクルマ?


『ミラココア』の後継モデルとして登場した『ミラトコット』。独身、もしくは子供のいない女性をメインターゲットとしたクルマだ。

肩ひじはらはずに乗れるエフォートレスなクルマを目指して開発されたと言われ、その開発にはダイハツの女性社員の意見も数多く取り入れられたとスピーチされている。ボディサイズはもちろん軽自動車枠に入る全長、全幅で全高は1530mm(4WDは1540mm)となる。エンジンは自然吸気3気筒の52馬力、ミッションもCVTのみ。

クルマに乗り込むと、なるほど視界は開けていて運転はしやすい環境が整っている。しかしながら、ステアリング調整はチルトのみ、リクライニングを寝かしたらステアリングが遠くなり、結果としてステアリング操作時には身体を起こさないとならない。

標準体型ではきちんとしたドライビングポジションが取れても、太ったり妊娠したりするとリクライニングを倒さないとポジションが取れない。そこにテレスコピック機構がないのは辛い。女性をメインターゲットにするクルマならば、妊娠も前提した設計が必要ではないだろうか?

引き締めるべき部分をしっかりと


乗り味はゆったりとしたもので、フワッとした印象。2455mmのホイールベースで柔らかなスプリング&ダンパーなので、落ち着きのないダラッとした印象。ハンドリングに関しても、ゆったりしたもので、自分の持っている経験則でステアリングを切ると、転舵量が足りない。フロントのスタビライザーを省略しているので、操作に対しての遅れがある。つまり、ロールが進んでからでないとクルマがコーナリングを開始しないという印象だ。

男性は正確なクルマの動きを求めるが、女性はそうした正確な動きよりもゆったりした乗り心地を求める…という考え方なのか? 極端にシャープなハンドリングは必要ないとしても、普通のレベルの反応は必要なはず。ステアリングは180度、半回転ずつ切っていくのが正しい操作だが、それができない女性も多く存在する。女性は細かく切り足していくハンドル操作が多い。ミラトコットはパワステアシスト量を増やして、非力な女性でも操作しやすいようにしたと言うが、そうするならステアリングギヤレシオを高めにして反応遅れを補完する方向性がいいのではないだろうか。

それよりもスタビライザーを省略せずに、装着したほうがいいと感じる。スタビライザーは左右の動きの制限するものだから、左右が同時に上下に動くときにはサスの柔らかさを損なわない。

エンジンの出力はとくに不満のないレベルだが、アイドリングストップからの再始動時のノイズが多いのが気になった。

ゆったりしたゆるいクルマを作ろうという考え方はいいのだが、抜きどころがちょっとずれている印象。引き締めるべき部分は引き締めたほうがいい。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア/居住性:★★★★
パワーソース:★★★
フットワーク:★★
オススメ度:★★★

諸星陽一|モータージャーナリスト
自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

《諸星陽一》

諸星陽一

自動車雑誌の編集部員を経て、23歳でフリーランスのジャーナリストとなる。20歳代後半からは、富士フレッシュマンレースなどに7年間参戦。サーキットでは写真撮影も行う、フォトジャーナリストとして活動中。趣味は料理。

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