ダイムラー・トラックのコネクテッド戦略、アジア市場の未来にどう応えるのか?

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ダイムラー・トラックグープ、三菱ふそうスーパーグレート
ダイムラー・トラックグープ、三菱ふそうスーパーグレート 全 3 枚 拡大写真

IAA2018(ハノーバーモーターショー2018)開催に伴い、ダイムラーは19日、2018年のダイムラー・トラック部門の販売台数と売上高は、顕著な成長を見込むと発表した。プレゼンテーションで登壇したのは商用車部門総責任者のマーティン・ダウム氏だ。

まずクローバルでの販売台数は、2017年度上半期の21万台に比べ、2018年はすでに23万8000台を達成。売上高も対前年に比べ1.2倍と推移し、年間で見ても販売台数、売上高共に今年は飛躍の年になると予想を立てた。

その理由として同氏は、対前年に対して38%増の販売ベースは、これまでの予想を上回っており、過去にも類を見ない成長を感じると同時に、徹底した販売効率を高める戦略が功を奏した形だと述べた。

ダイムラー・トラックは、物流、輸送の分野で、車両単体だけに向けた従来のビジョンを見直し、商用車と別分野のサービステクノロジーとを積極的に結びつける、いわゆるコネクテッド戦略を早くから標榜してきた。

世界中にリージョナル・センターを6つ設置し、各地域の顧客ニーズを一つ一つ解決して提供し続けたことと、製造過程や輸送方法、販売方法を抜本的に見直すなどして、その時々のグローバルでの販売潮流に向き合って対応してきた。

そして今日、そういったオリジナルの考え方や今後への期待を込めて、ダイムラー・トラックがダイムラーの完全子会社として分社化することを、改めて強調した。

では日本を含めたインドネシア、タイ、台湾、そして南米ペルーなどを賄う、ダイムラー・トラック・アジアはというと、販売台数は対前年比で+16%の向上を示した。詳細はインドネシア+69%、タイ+60%、台湾+19%、ペルー-42%、日本+3%。アジアでは確実に発展途上国を中心に人気が急上昇しているのがわかる。

日本においては、西ヨーロッパ同様、成熟した市場故に、今後の大きな伸び率は期待できないが、これからのビジョンは、共に商用車業界の未来をリードしていくこと、そしてミッションは顧客満足、業務改善において一番を目指すものとしている。さらに2020年までに総販売台数22万台、売上利益立は+8%を目指すなど、事業活動は活発化されていくはずだ。

特に目立つものとして、インドネシアでは販売ネットワークを全土へ拡大し、2019年末までに現在より66%の拡大を目指すとしている。さらにインドでは、同国での生産台数が10万台を突破するなど、その勢いは確かである。

一方でここ日本では、川崎工場での無人搬送車(AGV)や、AI搭載型ロボットの導入により生産自動化が進んでいるFUSO川崎工場敷地内に、新しく本社機能を有するプロダクトセンターと、生産機能を有するプロダクト・ビルディングを2019年に開設させると発表。

さらに今後最も注目される自動運転化では、新型アクトロスと同じ「レベル2」機能を2019年に三菱ふそう『スーパーグレート』にも搭載し、隊列走行試験も継続して実施すると表明。そしてコネクティビティ分野では、「トラックコネクト」技術搭載の台数を2020年までに10万台へ増加させる予定だ。

さらに電動化の面では2020年から三菱ふそう『eキャンター』の量産も開始するとして、いよいよ日本の物流業界も本格的な変革期へ入ったと感じさせる。新たなテクノロジーとこれまでのノウハウがタッグを組み、新しい商用車がかたち作られていくことに期待したい。

《吉澤憲治》

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