【マツダ アテンザセダン 新型試乗】フラッグシップとしていかに大切にされているかがわかる…島崎七生人

マツダ アテンザ セダン XD PROACTIVE
マツダ アテンザ セダン XD PROACTIVE全 8 枚

最新のフェイスリフトは成功だと思う。重心を下げ、奥行きと程よい存在感を増したシグネチャーグリル(やデザインの新しいヘッドランプ、バンパー)がいい仕事をして、フラッグシップらしい、エレガントでより落ち着いた表情になったからだ。

フォグランプを廃し、正面視でボディ色多めのスッキリ感も貴重な存在。昨今はディテール過多、エアインテークの穴開きだらけの挑発的なデザインに食傷気味だから、一服の清涼剤に思える。リヤも実は各部の構成パーツが新規に起こされている。ディフューザー状に黒塗りされていたバンパー下部がボディ色となり、案外とマッシブで力強いボディの輪郭がより見えるようになった。

今回の試乗車「XDプロアクティブ」は、17インチタイヤ&ホイールを履き、ホワイトのボディ色ということもあり、何も足す必要のない非常にプレーンなルックスに安堵させられる……そんな趣だ。
マツダ アテンザ セダン XD PROACTIVEマツダ アテンザ セダン XD PROACTIVE
同様に今風のアンスラサイト風の黒系ファブリック内装もプレーン。革内装に対し物足りなさは感じない。インパネ表皮などにステッチが入る“ひと手間感”もいい。あとは、運転席まわりのソフトパッド部分について、センターコンソール、ドアアームレストなど各所の表皮、クッションの硬度とストローク(指で押した時の沈み込み量)に統一感が出れば、よりドライバーズカーらしくなると思う。

それとオプション設定のお馴染みのBOSEサウンドシステムも、これまで以上に音の表情が生き生きとして感じられた。インテリアのデザイン変更に伴いフロントのトゥイーターの取り付け位置(ユニット自体も)が変更されるなどし、再調整されたそうだが、こちらも静かに進化している……という訳だ。
マツダ アテンザ セダン XD PROACTIVEマツダ アテンザ セダン XD PROACTIVE
試乗車を借り受け、数日間、行動を共にしながら改めて実感したのは、フラッグシップらしい上質なドライバビリティをいよいよ身につけてきた……ということ。とくに2.2リットルのディーゼルターボ搭載XDでは、室内空間の静粛性にさらに磨きがかかり、エンジン音は遠くで微かにする程度。加速させていくと、スムースなガソリンエンジンのようなストレスのなさと力強さを発揮してみせる。

乗り味もしっとりとした味わいと、フラットで優雅な乗り味を示してくれる。強いていえば「25S Lパッケージ」(ガソリン19インチタイヤ車)に較べ、同じ2WD同士ながらステアリングの感触に差があること。フロントで70kg、XDのほうが荷重が大きいはずだが、別に試乗した25Sのほうが、センター付近の“スワリ”がよかった。19インチのセッティングがメインに行われた?そんな印象もある。

とはいえ今回の試乗での燃費は、18.0km/リットルを確認。十分にリーズナブルである。走りの味わい、内外観の上質なフィニッシュレベルなど、マツダがこのクルマをフラッグシップとして大事にし、磨き込んでいることがヒシヒシと伝わる。

■5つ星評価
パッケージング:★★★★★
インテリア/居住性:★★★★★
パワーソース:★★★★★
フットワーク:★★★★★
オススメ度:★★★★★

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト
1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。 便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

《島崎七生人》

島崎七生人

島崎七生人|AJAJ会員/モータージャーナリスト 1958年・東京生まれ。大学卒業後、編集制作会社に9年余勤務。雑誌・単行本の編集/執筆/撮影を経験後、1991年よりフリーランスとして活動を開始。以来自動車専門誌ほか、ウェブなどで執筆活動を展開、現在に至る。便宜上ジャーナリストを名乗るも、一般ユーザーの視点でクルマと接し、レポートするスタンスをとっている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  2. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
  3. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
  4. 21車種・64万台超、トヨタ自動車の大規模リコールに注目集まる…7月掲載のリコール記事ランキング
  5. シボレー『コルベット』がニュルブルクリンクで「米国メーカー最速ラップ」樹立
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  3. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る