京セラの新型アンテナ「アムセナ」が総務大臣賞を受賞…CEATEC 2018

新型アンテナ「Amcenna(アムセナ)」を組み込んだ通信モジュール
新型アンテナ「Amcenna(アムセナ)」を組み込んだ通信モジュール全 11 枚

京セラは、幕張メッセ(千葉市)で開催中の「CEATEC JAPAN 2018」で、金属や水の近くで設置しても電波強度が低下しない新型アンテナ「Amcenna(アムセナ)」を出展。CEATEC JAPAN 2018に出展された製品やサービスの中から最高位の評価「総務大臣賞」も受賞した。

一般的に電波は近くに金属や水があると飛びにくくなるという特性を持っている。たとえば、車両のボディに直接アンテナを設置すると電波強度が弱くなり、受信状況が低下するのだ。その解決策として採用されてきたのが金属や水とアンテナ部を遮断する壁に人工磁気壁(AMC:Artificial Magnetic Conductor)を用いる方法だ。しかし、AMCは大きさが8cm角もあり、そのままでは小型化に限界がある。

そこで京セラの開発チームは、三面鏡をヒントに、AMCの小さなユニットを仮想的に並んでいるように見せる独自構造を採用。これが従来比で1/60以下となる小型化へとつながった。さらに厚さも従来比1/2となる1.9mmを実現。これにより、IoTが進む幅広い分野で活用できるサイズにまで小さくできたという。

京セラのブースではAmcennaを搭載した無線通信モジュールを参考出品。モジュールは500円玉相当に載るサイズだが、これはコイン電池のサイズの都合によるもので、実際にはさらなる小型化も可能という。会場のデモでは、従来のアンテナとAmcennaを組み合わせた特性の違いを確認できるようにもなっていた。

説明員によれば、試作の無線通信モジュールは2.4GHz帯向けのアンテナだが、今後普及が見込まれる5Gやミリ波レーダーなどに用いることも想定。京セラとしてはアンテナ単体での提案ではなく、Amcennaを無線部と組み合わせた通信モジュールで販売し、車両やウェアラブル製品などIoTに最適なモジュールとして売り込んでい考えだ。

なお、総務大臣賞の受賞理由は以下の通り。「人工磁気壁(AMC)の小型化とAMC自体へのアンテナ機能の付加による独立アンテナ化、小型 ・薄型化を実現。 従来は難しかった機械設備、自動車ボディ等の金属部分やウェアラブル機器への小型アンテナ設置が可能なため、IoT分野における通信デバイスのキーテクノロジーとして期待される」

《会田肇》

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