遠隔ドライバー1人で自動運転車2台を運用、実証実験へ 世界初

実証実験での走行ルート
実証実験での走行ルート全 5 枚

産業技術総合研究所(産総研)は、福井県吉田郡永平寺町での「ラストマイル自動走行の実証評価(永平寺町)」での新たな実証として、1人の遠隔ドライバーが2台の自動運転車両を運用する、世界初の遠隔型自動運転実証を、11月19日から実施する。

実証は国土交通省と経済産業省から産総研が受託したもので、京福電気鉄道永平寺線の廃線跡地を利用した「永平寺参ろーど」のうち、約2kmで行う。

産総研は永平寺町で10月29日から、国内初となる複数台の自動運転車両と管制システムを用いた長期実証実験を開始、11月30日までの約1カ月間、地域の移動サービスの担い手となる事業者として、えい坊くんのまちづくりと、京福バスの運営で実施している。

今回の実証実験では、世界に先駆けて1人の遠隔ドライバーが2台の自動運転車両を運用する遠隔型自動運転システムを、規制をかけずに実施する。実験の実施に向けて、実証実験について10月18日に、国土交通省中部運輸局により、1人の遠隔ドライバーが遠隔型自動運転システムを搭載した自動車の基準緩和の認定を受けた。これを基に福井県警察本部、福井警察署による走行審査を11月5日に受け、11月7日に遠隔ドライバー1人が2台を運用する遠隔型自動運転システムの公道実証実験について、道路使用許可を受けた。

実証実験は、永平寺参ろーどの南側一部区間(荒谷から志比)の約2kmを走路として遠隔監視・操作装置などを志比浄化センター内に設置して実施する。自動運転小型電動カートには、ヤマハ発動機が開発したゴルフカートをベースに公道走行が可能な車両を、産総研が改造した遠隔型自動運転を可能とした実験車両を使う。

電磁誘導線を用いた自動操舵機能、走路に埋め込んだRFID(Radio Frequency Identifier)タグによる速度制御や位置補正機能、ステレオビジョンやレーザーレンジファインダーによる障害物検知と自動ブレーキ機能、車内外のカメラと車内のマイクによる遠隔でのモニター機能などを持つ。

また、慶應大SFC研の開発で車両状態や位置の遠隔での把握や、運転操作を可能とする遠隔監視・操作装置を通信でつなぐことで遠隔型自動走行を実現する。

自動運転車が走行中、遠隔ドライバーが1台の自動運転車両に遠隔操作を行った場合、他の自動運転車の監視・操作が困難となることから、自動的に車両を安全に停止させ、操作後に2台を同時に再発進できる機能や、追加の遠隔ドライバーが対応できる体制の場合、速やかに他の自動運転車両の運行を再開できる機能を付加する。

遠隔ドライバーは、全ての自動運転車の周囲、走行する方向の状況を確認するための映像と音を同時に監視する必要がある。音については、緊急車両のサイレン音を検知し、遠隔ドライバーにどの車両で検知しているかを注意喚起支援する機能を付加した。

さらに、今回の走路は狭いため、自動運転車両はすれ違い待避所を3カ所設置しており、日立製作所が開発した管制システムによって自動的にすれ違い待避所での通過、待機停止、待機解除発進を行う機能も付加する。

《レスポンス編集部》

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