台車の異常を空気バネや振動、音で検知…『のぞみ』台車亀裂を受けたJR西日本の安全性向上策

異常検知システム、添乗による状態確認、走行音による異常を検知する技術開発、データ分析システムの構築が4本の柱となっている、JR西日本の車両管理体制。
異常検知システム、添乗による状態確認、走行音による異常を検知する技術開発、データ分析システムの構築が4本の柱となっている、JR西日本の車両管理体制。全 3 枚写真をすべて見る

JR西日本は11月14日、同社が運行するN700系『のぞみ34号』で昨年12月に発生した台車亀裂が重大インシデントに認定されたことを受けた、安全性向上策の進捗状況や新たな取組みなどを明らかにした。

JR西日本ではこの重大インシデントに対して「『新幹線のシステムへの過度の信頼』による『新幹線の安全に関する感度の停滞』があった」としており、新幹線運行にまつわる車両検査や現場の態勢を見直している。

車両検査では、超音波探傷など静的な検査のほかに、地上・車上センサーを使った異常検知や保守担当社員の添乗による検査、走行時の車両データの分析といった動的な検査も今後採り入れるとしており、台車の温度を監視することで異常を検知する地上センサーである「台車温度検知装置」を山陽新幹線内の5か所に10台整備。2019年3月には徳山~新山口間の上り線に設置し、以後、西明石~姫路間、岡山~新倉敷間、三原~東広島間、小倉~博多間を設置候補として整備を検討している。

車上センサーである「台車異常検知装置」については、2019年3月までに台車の空気バネ圧力により異常を検出するものをN700Aタイプの車両に順次搭載。8両編成のN700系7000番代については、台車部品の振動により異常を検出するものを2020年度までに順次搭載する。

このほか、2019年度下期の導入を目指して、走行音から異常を検知する技術開発にも取り組むとしており、現在、NTTデータなどのIoTソリューションを活用した実証実験を進めているという。

添乗による検査は、2月に岡山駅に社員を配置し車両トラブルに対する即応性を高めたが、12月にはさらに広島駅にも配置する予定となっている。

車両データの分析については、データの推移から機器の異常やその兆候を検出する分析システムを構築して定期検査を支援するとしており、2020年度から運用を始める予定としている。

現場レベルでは、指令所の改善や実践的な教育・訓練の充実など「運行オペレーション」の改善に取り組むとしており、車両保守の経験者を1月末から東京新幹線総合指令所に配置。2月からは複数人に対応した会議用アプリを導入し、コミュニケーションによる連携を強化することで車両の現状を相互に把握するとともに、車両点検時の乗務員をサポートしているという。

実践的な訓練・教育では、重大インシデントに対する認識のズレや判断の相互依存という問題を解消するため、指令員や乗務員、車両保守担当など、異なる立場の社員が参加する合同シミュレーションを行なっている。

JR西日本では「高速鉄道である新幹線では小さなリスクも大きな事象に結びつく可能性があることや、頻度が低くとも被害は重大になる可能性が高い」という認識を踏まえて、これらの安全性向上策を推進していくとしている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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